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なぜ市場は梯子を外されたのか?黒田総裁は「緩和祭りの後片付け」を始めた=E氏

消えたリップサービス

まず、従来はノーアクションでも緩和に関して「必要ならば躊躇なく」というリップサービスをしていました。

1日の会見ではご機嫌取りのようなリップサービスは発せられず、代わりに物価目標達成時期の後退に関して「2年2%未達は残念だが、欧米中銀も同様」という開き直りとも取れる発言をしました。

始めの「必要なら躊躇なく」というセリフが無くなったのは、前回9月の日銀金融政策決定会合以降の黒田日銀総裁の発言を追っていればわかる事です。

このところの黒田日銀総裁は、当面の追加緩和は必要がないという論調を繰り返す他、マイナス金利も弊害が大きいという見方をしてきたので、「当面必要ないと考えているし、やる場合は弊害も多いので、(やるとしても)躊躇なくは出来ないだろう」という見方が根強くなったため、今回会合は事前からノーアクションという見方が主流になっていたのです。

また、原油安を背景にした世界的なデフレ傾向の長期化もあり、物価目標を後連れさせる動きは欧米中央銀行も同様なので、「目標の後連れは欧米も同じ」というのも全くその通りで、日銀だけが誹りを受ける筋合いは全くありません

このように、会見の黒田日銀総裁の発言はこの1カ月の氏の発言から容易に推察咲きるものなので筋が通っています。

にも関わらず、メディアの論調や会見後のマーケット(昨晩の夜間市場)がネガティブな反応をしたのは、「そもそも前回会合での決定内容をミスリーディングした影響が今になって出た」からだと私は考えます。

メディアによるミスリード

前回の決定会合は、黒田日銀総裁を始めとする日銀は「緩和の強化」を決定したことになっていますし、依然としてマーケットもそのような認識です。

詳細は前回の決定会合に対する私の見方を参照していただければと思いますが、この決定の結果、「今回については、量による短期決戦型から金利による持久戦型に切り替えた9月の会合から間もないので市場も想定内と受け止めた」訳ですし、「今後の主要追加緩和手段とするマイナス金利の深掘りは副作用も大きいので当面追加緩和はないとの見方が広がりつつある」のです。

というと非常にモノ判りが良いように思えますが、この「成果達成までの時間軸の後連れ」「金利重視型にする事で実際的な効果がどうなるか?」「今後の緩和手段としてマイナス金利という効果検証結果を示しながらも、マイナス金利の弊害を認めた」という前回会合の決定と会見で生じた「緩和発言」と「実際のオペレーション」の矛盾を、マーケットはきちんと認識していたでしょうか?

私は前回の決定会合直後の記事で、「今回の決定内容は、黒田日銀総裁が言うような緩和の強化ではなく、短期的には金融引き締めやテーパリング(緩和縮小)と同様の効果になる」と書きましたし、「もったいぶって出してきた効果の検証で有効とされたマイナス金利は、民間銀行の収益的なダメージが大きい事もあり、頻繁に行うことは困難」という見方もしました。

要するに前回の決定会合では、「当面有効な緩和手段は短期金利の調節なのでマイナス金利が依然として有効と説いた一方で、イールドカーブの平たん化の悪影響を避ける為に、長期ゾーンを(現行はマイナス金利なのに)ゼロに引き上げるようなオペレーションをする」という事を決定したのです。

しかし、勘違いした幾つかのメディアは、「長期金利がいくら跳ね上がっても金利ゼロになるまで国債買い入れを行うので、これはヘリマネと同じだ」といった訳の判らないことを書くところも出たくらいです。

しかし、考えてください。

今時点で長期金利はマイナスなのですよ。これをイールドカーブの平たんが問題だからといってゼロにするオペレーションをする場合、これは金融緩和ですか?少なくともゼロまで長期金利が上昇する以上、引き締めではないですか?

それどころか、テーパリング(緩和縮小)まで始めたのですよ。

Next: 黒田総裁は屁理屈を言いながら「緩和縮小」を開始している

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