(2)2008年9月15日リーマン・ショック
次に、2008年9月15日に発生したリーマン・ショックを見ていきます。
当時、リーマン・ブラザーズは米国第4位の投資銀行でした。サブプライムローンの高いリスクを背負うことで事業を拡大させてきたのですが、2008年9月15日に倒産してしまいました。
この後、金融システムは崩壊直前まで追いやられ、世界中の株価が強烈な下落に見舞われました。震源地となった米国のニューヨーク・ダウの値動きは次のようになっています。
・2003年02月:7,864ドル
↓56カ月後↓
・2007年10月:14,093ドル(高値)
↓24カ月後↓
・2009年05月:7,608ドル
2003年02月から56カ月かけて、7,864ドルから14,093ドルまで上昇しましたが、その24カ月後の2009年5月には7,608ドルに下落しています。
先ほどの日経平均株価よりも、頂点まで上がるまでの時間がかかっていますが、ほぼ同じ傾向です。上昇する速度よりも、下落する速度の方が約2.3倍の速度になっています。
チャートで確認しても、ソロスの提示している「再帰的な株価モデル」とほぼ同じ形になっています。
正三角形をチャートの上に乗せると、株価の頂点がかなり右側にずれていることが確認できます。
バブルが発生する段階では、正のフィードバックが強化されて、「現実」と「現実’」が大きくかけ離れてしまいます。
逆にバブルが崩壊する過程では、慌てて自己修正的に負のフィードバックがかかりますが、今度は負のフィードバックが効きすぎて、必要以上に暴落してしまうという流れです。
(3)2015年中国株の大暴落
3番目に、最近発生した中国株の大暴落を見ていきましょう。
この大暴落は2015年6月12日に始まり、わずかひと月の間に、上海証券取引所のA株は株式時価総額の3分の1を失いました。
連日のように、中国政府が「上海証券取引所の売買を停止した」とか「信用売りを禁止にした」とか、様々な株価下落防止の施策を発表していました。ほとんど反則技のような株価下落防止策に驚いた人も多かったのではないでしょうか。まだ記憶に新しい出来事だと思います。
中国政府の懸命な努力にも関わらず、この大暴落は止まりませんでした。当時の上海総合指数の動きを追うと、次のようになっています。
・2014年12月04日:2,899
↓6カ月後↓
・2015年06月12日:5,166(高値)
↓2カ月後↓
・2015年08月26日:2,927
2014年12月4日に2,899だった上海総合指数は、約6カ月後の2015年6月12日には、5,166まで上昇しました。たった半年程度で1.7倍も急上昇し、天井の5,166から「たった2カ月」で元の2,927まで下落したのです(43%の下落)。
チャートで確認しても、頂点の2015年6月12日から急落していることがわかります。
現在、上海総合指数は3,200台まで反発して、最悪期は脱したように見えますが、まだ出口は見えません。