財務省が「個人向け国債購入を勧めるCM」を流しはじめた
「バーゼル3」とは、いわゆる新BIS規制と呼ばれている「グローバルな金融システムの安定化」のための枠組みのことで、上のタイムスケジュールのように、2013年3月末から一部適用が始まっています。
※「バーゼル3」とは? – 大和総研[PDF]
「バーゼル3」は、公には、国際取引業務を行っている西側のすべての銀行の自己資本比率を高めることによって銀行システムの健全性の強化を図ることを目的としています。
日本の銀行の場合、その資産構成における比率で問題となっているのが国債の保有残高です。
日本国債の格付けは、2015年9月16日の段階で「A+/A-1」に引き下げられ、世界ランキングでは、とうとう第14位まで下落してしまいました。韓国の11位、中国の12位より低いランク付けなのです。
そして、今年の6月には、さらに格付け引き下げの見通しが出ています。
2015年2月12日の「経済財政諮問会議」で日銀・黒田総裁が言ったオフレコ発言……「日本国債は、もうダメかもしれない」。
そのとおりです。
覚悟を決めたかように見える黒田総裁の日銀は、国債の格付け引き下げと競争するかのように、市中銀行が保有している国債を満期時の価格より高い価格で買い取っているのです。
トランプ・ラリーは、そんな安倍政権に一息つくゆとりを与えました。
日本の機関投資家が、NY市場の株高と金利が上昇している(価格が安くなっている)米国債に資金を振り向けたのです。一部は日本国債の売却によって得た資金です。
結果、12月6日午後の債券市場で、新発10年物国債の利回りが前日比0.015%高い0.050%と2月18日以来、約10カ月ぶりの高水準を付けたのです。
すかさず、財務省は、「個人向け国債」の購入を勧めるテレビCMを流しています。
すでに、中央銀行は満期時の価格より高い価格で市中銀行から国債を買っているのです。
それでも、最大の引き受け手であったメガバンクに愛想を尽かされつつあるという現状をどう捉えればいいのでしょう。
そして、いよいよ政府自らが、個人に国債を購入することを推奨するテレビCMを流しているのです。
いっぽう中国は、国民に金(ゴールド)や貴金属の購入を勧めるよう数年前からPRを展開しています。
この両国の政府の違いは何でしょう?
少なくとも言えることは、日本国債の信用の裏付けは「政府」であり、金(ゴールド)は、通貨の価値の裏付けとなる「正貨」として数千年の歴史を持っているということです。
あなたは、どちらを信じますか?安倍政権の政府ですか?数千年の歴史ですか?
間違いなく、「バーゼル3」が完全に適用される2019年前に、日銀は市中銀行から大方の国債を吸い取っているでしょう。このままアベノミクスを続けていけば、国債の格付けはさらに引き下げられ、確実に日本の銀行システムは崩壊に導かれます。
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※本記事は、『カレイドスコープのメルマガ』 2016年12月12日第185号パート2の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。割愛した全文や、配信済みのパート1、パート3もすぐ読めます。
『「カレイドスコープ」のメルマガ』(2016年12月12日第185号パート2より一部抜粋、再構成
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