「雇用」の喪失で個人消費は簡単に落ちる
日本のGDPも、他の先進国などと同じようにしていれば、ここまで経済が落ちることはなかったのです。逆に何もしなくても、世界全体のGDPが上昇しているので、そう簡単には下がらない。
1990年ごろの日本は、すでに輸出主導というよりも内需型に転換していました。内需というのは個人消費です。
日本はアメリカのように、兵器の輸出で大儲けしたり、金融市場を牛耳ったり、ということはありません。ですから、個人消費の重要性はアメリカ以上というわけです。
ところが1990年以降の日本では、リストラや非正規雇用化を推進し、それまでの雇用が次々と失われました。
「欧米的改革」を誤って実施したわけです。雇用が失われれば、収入がありません。個人消費は氷河期に陥ります。
このとき、雇用を残して給与削減をすれば、今のようにはなっていないでしょう。しかし人員削減が行われたので、下げた給与を戻すように簡単にはいきません。
そして内需型に転換していた日本経済は、雇用喪失で一挙に恐慌化したというわけです。これは欧米勢に仕掛けられたというか、弱点を突かれたわけです。1990年ごろの日本はアメリカのGDPに迫る勢いでしたから、欧米諸国には脅威であったでしょう。
日銀が主張する「完全雇用」のウソ
日銀は最近、日本は「完全雇用」に近いと主張していますが、現在はまったくそのような状況ではありません。雇用が良ければ、ブラック企業やブラックバイトをする人はいないです。すぐに他の良い仕事や、バイトに移っていくからです。
それが他に移れないので、ブラック企業は存在できるというわけです。
ですから、当時と逆のことをする=雇用を増やす政策や低所得者への給付を行えば、簡単に日本経済は復活するはずです。
世界の多くの国が経済成長しているわけですから、日本の問題が生産性の問題とは言えません。海外の国を訪問すればよく目にするように、日本よりテキトーな国はいくらでもあるのです。
そういう国でも経済成長しているわけですから、これまでと逆の、雇用を増加させる政策で、すぐにデフレと逆の動きが生じるでしょう。1990年以降のリストラ・緊縮政策と逆のことをすれば、簡単に日本経済は上昇すると考えられるのです。