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日本経済の「失われた30年」を取り戻す、たった1つの復活のカギ=児島康孝

「コンドラチェフの波」で考える

コンドラチェフサイクル」という考え方をご存じでしょうか。これは100年ほど前のロシアの経済学者ニコライ・コンドラチェフ(1892-1938)が提唱したものです。西側・資本主義国の景気の超長期サイクルを分析したもので、長期波動の理論は多くの支持を集めています。

コンドラチェフ氏は、1917年のロシア革命のあと政権の要職も務め、ソビエト政権でも経済学者として活躍。しかし集団農場への批判などで、スターリンの粛清の対象となり銃殺。旧ソ連の悲劇の経済学者です。

それによると、50年~70年におよぶ経済サイクルの前半部分(30年間ぐらい)は好況。サイクル後半部分(30年間ぐらい)は不況とされています。

サイクルの見方は様々

このコンドラチェフサイクルですが、経済恐慌の周期などにぴったりあてはまります。このため、欧米の投資関係者の間でも信奉者は多いです。

一方で、1つのサイクルの起点や終点を何年と見るかは、識者の間でも見解が異なります。このため本によって、期間やサイクルのあてはめ方が違ったりする、ということです。あの本ではこう書いているけど、こっちはこうだった、という感じです。

ですから、きっちり何年と決めるよりも、社会情勢などを勘案して「時間の帯」で考える方がよいかと思います。

2016年はどの位置?

2016年を考えるうえで問題になるのは、まず起点をどこにするかです。1929年のNYウォール街の大暴落と世界大恐慌。1939年~1945年の第二次世界大戦。この頃は明らかに「」ですね。

そして日本の神武景気は、1954年末(昭和29年)~1957年(昭和32年)。岩戸景気は1958年(昭和33年)~1961年(昭和36年)。いざなぎ景気は1965年(昭和40年)~1970年(昭和45年)。このうち神武景気は、白黒テレビ・電気洗濯機・電気冷蔵庫が「三種の神器」といわれた空前の好景気。神武景気と岩戸景気の間には「なべ底不況」がありますが長さは短いです。ですから、この景気の良い時期は、コンドラチェフサイクルは上昇しています。

こうした変化を見ますと、実体経済の上向きの起点は1945年~1950年前後が妥当となります。場合によっては、1935年~1940年ごろに既にサイクルは底を打っていた、という見方もできます。

そして日本のバブル崩壊が1990年。神武景気から見ますとやはり、いい時期は30年余り、で終わりました。

バブル崩壊後は良くなかったですね。金融危機、デフレ不況、リーマンショック。それでようやく現在は、戦後70年あまりですから、やっと1周まわった、という頃合いです。

1945年から計算しますと…

1945+60=2005
1945+70=2015

サイクル70年説をとれば、2015年が転換点です。そして景気は良くなり、10年後には神武景気のように、いわゆる国が始まって以来の空前の好景気が起きている、との予想がなりたちます。

アベノミクスでの日経平均株価2万円の恩恵は、生活実感としては全く感じられませんが、経済の先行指標かもしれないわけです。

今は1945年と同じで国民生活は苦境にあるのですが、これから2050年ごろまでは、日本の景気は、非常に良くなることを示しています。ちょっと信じにくいですが、これまでの恐慌状態の逆、ですね。

転換期には産業革命が起きる

そして、恐慌状態から経済が上昇するときには産業革命が起きます。めざましい発展が起きるわけです。AI(人工知能)なのか水素なのか、何かが飛躍するわけです。

前回の産業革命はコンピュータ革命といわれています。最近の日本は貧困化を背景に痛ましい事件も相次いでいますが、もう少しで社会が変化するはずです。

サイクルがあと5年先だった、といわれればがっくりきますが、たぶん株価がいったん上昇しているので、転換点は過ぎていると思います。

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ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』(2016年12月30日,2017年1月4日号)より抜粋・再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

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