金相場は1320ドルを超えると再び強いトレンドに
一方、今回のFOMC後に発表されたFRB関係者による経済・金融見通しでは、物価動向の弱さを考慮し、インフレ率が目標の2%に到達する時期を6月時点の18年から19年に後退させています。
また、利上げ回数の見通しは18年は3回で据え置きましたが、19年は2回程度に下方修正しています。さらにFOMC声明では、物価動向について「短期的には2%の目標を幾分下回るとみられる」と予想し、インフレ率が上昇しない現実を受け入れた格好です。
「中期的に目標の2%前後に到達する」との見方は維持していますが、結局はインフレ率が上昇しない限り、利上げはできません。したがって、インフレが加速しなければ、利上げはありませんし、長期金利も上昇しません。この点には注意が必要です。
金相場は1275ドル前後で下げ止まり、1300ドルを回復して1320ドルを超えると、再び強基調に回帰すると考えます。
一方、北朝鮮情勢が長期的な金相場の上昇要因にはなり得ないことから、過度に重視しないことも必要であると考えます。
いまの金相場の動きは想定通りです。目先の下げで慌てる必要は全くないと考えています。
金は保有しておく必要がある資産であり、相場水準で決めるものではない、というのが持論です。これも、言い続けていることです。そして、今回のように安くなった時に押し目を買っておくのが賢明であるとのスタンスも変わりません。
「株高・金高」の状況は続く
個人的には、今回のFOMCの内容はタカ派的ではなく、むしろハト派的であと考えています。ですので、金市場の現在の反応は過剰と考えています。
いずれにしても、目先の話に関係なく、金は常に保有しておくべき資産です。この点は何があっても変わりません。金も長期的に保有しておきたい資産との考えに変わりありません。金相場は2020年までは確実に保有しておきたい銘柄であり資産であるとの見方です。
とにかく、FRBは株価を支えるためにもドル安を維持する必要があり、そのためには過度な利上げは避けなければなりません。
インフレが低迷しているため、現時点でも12月の利上げは難しいでしょう。
したがって、米長期金利は上昇しづらく、ドルの上昇は見込みづらいので、今後も金にとってはきわめて良好な市場環境が続くことになるでしょう。結果として、「株高・金高」という状況が続くことになるのではないかと考えています。
資産を保全するという考えに基づき、金を常に保有しておきたいところです。
ちなみに、これも以前に解説したように、スイスのプライベートバンクは、顧客である富裕層に最低でも資産の5%相当の金を保有することを勧めています。これが、彼らが長年生き残っている所以です。
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