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テレビが伝えぬ「小池劇場」本当のみどころと安倍総理最大の不安=近藤駿介

「安倍劇場」虚飾の構造

さらに、自民党は下野してから10か月後の1994年6月には、社会党と新党さきがけ(共に当時)と連立政権を組み与党に返り咲いており、自民党が新党に政権を渡していたのは、わずか10カ月だけなのである。

安倍総理の「90年代の新党ブーム」も「ブームからは希望は生まれない」という発言も、事実に基づいたものではある。しかし、すでに日本が「長い経済の低迷に突入」していた後に、わずか10か月だけ政権を担った新党に、「長い経済の低迷に突入した」責任を押し付け、「ブームから希望は生まれない」と結論付けるのは、あまりにも脚色が強すぎる虫のいい主張だといえる。

こうした、少しの事実を大きく脚色するのが、「安倍劇場」の最大の特徴である。

「新党ブームの結果、日本は長い経済の低迷に突入した」という歴史から学ぶべきものは、健全な野党が育たないことも含めて、政権交代が起こり難い制度がもたらす弊害であるはずだ。

安倍官邸は動揺している

「たった一夜にして政策の協議も全くない中で、いつの間にかひとつの政党になってしまっている。まさに選挙目当ての数合わせが進んでいるのではないかなと思っています」

菅官房長官は記者会見で、「希望の党」が「名を捨てて実を取る」覚悟を決めた民進党を取り込もうとしていることについて、このように批判した。しかし、解散権という専権事項を持ち、自分に最も都合のいいタイミングで解散、総選挙を実施する権限を持っている総理側のこうした批判は説得力に乏しいものだ。

そもそも、解散、総選挙において野党は基本受け身でしかなく、始めから時期的不利を強いられる立場に置かれている。解散が行われたら短時間で選挙準備をせざるを得ないという不利な立場にある野党が、「一夜にして」「選挙目当ての数合わせ」に動くのは、始めから有利な立場にある総理側が十分に想定しておくべきことでしかない。

しかも、今回、民進党が「希望の党」に合流できるか否かは、民進党が「希望の党」の政策を呑むか呑まないかにかかっており、基本政策協議にかかっているわけではない。

政府がこうした的外れの批判を行うのは、「希望の党」が突然現れただけでなく、民進党が捨て身で「希望の党」への合流を目指すという想定外の出来事に動揺していることを感じさせるものである。

Next: 小池代表本人の「出馬表明」が政策論争の号砲となる

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