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テレビが伝えぬ「小池劇場」本当のみどころと安倍総理最大の不安=近藤駿介

「決め台詞」を失った安倍総理

「私たちの責任は政策を訴え、結果を出していくこと。正々堂々と政策を訴えていきたい」

解散当日の28日、解散を迎える心境を問われた安倍総理はこのように答えていた。しかし、そうした言葉とは裏腹に解散直後から安倍総理の口から出てくる言葉は、「選挙のために集まって看板を替えた政党に、日本の安全、未来を任せるわけにはいかない」「新党ブームの結果、日本は長い経済の低迷に突入した」といった、およそ政策論争からかけ離れた感情論ばかりになっている。

「選挙戦は未来に向かって、どちらの政策が優れているかを競い合う場にしなければならないが、残念ながら『当選するためにどの政党に移ろうか』、『政党を解散してしまおうか』そんな話題ばかりだ。日本の未来を作るのはブームではなく堅実な政策だ」

「どちらの政策が優れているかを競い合う場」を求めている安倍総理が、正々堂々と自らの政策を訴えずに、「希望の党」が民進党の都合のいいところだけを取り込もうとしていることに対して批判を繰り返しているのは、できれば小池代表と「消費税」や「アベノミクス」の政策論争は避けたいという思いを持っているからだともいえる。

政策論争の相手が民進党であれば、どんな批判を受けても「民主党政権時代よりはいい」という「決め台詞」を口にすれば煙に巻くことができた。しかし、小池代表が相手ではこの「決め台詞」は通用しない。ここが安倍総理の苦しいところだろう。

もし、消費税凍結を主張する小池代表から実現可能な新たな財源を示されてしまったら、たちまち政策論争で窮地に陥りかねないからだ。

小池代表本人の「出馬表明」が政策論争の号砲となる

選挙戦を、安倍総理の望む「どちらの政策が優れているかを競い合う場」に持っていけるかどうかは、現実的に小池代表側にかかっている。そして、その政策論争を実現するためには、小池代表が民進党議員の受け入れに際して厳しい絞り込みを行うことが必要条件になる。

候補者の数を優先して民進党時代と同じ顔触れを揃えたら、有権者からの支持を失うだけでなく、政策論争でも不利な立場に立たされる可能性があるからだ。

策士である小池代表が、よもやこのような単純な戦略ミスをするとは考えにくいことではあるが、「希望の党」の顔ぶれが、民進党に近付けば近づくほど「民進党政権時代よりはいい」という安倍総理の「決め台詞」を復活させることになる。

この言葉が「決め台詞」として通用してしまう限り、政策論争が絵に描いた餅になることは、第二次安倍政権以降の国会論争がすでに証明していることである。

そして、なかなか政策論争に進まないもう1つの大きな要因は、小池代表が総選挙に出馬するかどうかがはっきりしていないことである。

現実問題として選挙態勢を整えるのに時間が必要なことは確かだろうし、出馬するかしないかの結論を先送りすることで「小池劇場」を続けてメディアジャックするというメリットもあるかもしれない。しかし、「国難突破解散」に参戦した以上、小池代表には総選挙に出ないという選択肢はないはずである。都議会最終日の10月5日には総選挙に立候補することを明確にし、1日も早く政策論争を始めて欲しいものである。

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