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日経平均16連騰は株価バブル再来の兆しなのか? バリュー投資の急所=栫井駿介

日経平均株価は10月24日まで過去最長となる16連騰を記録しました。株価水準は21年ぶりの高値となっていますが、これはバブルの再来なのでしょうか?(『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』栫井駿介)

プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

過去のバブル相場とは異なる「根拠ある株高」にどう対応するか

株価はまだバブルとは言えない

バブルとは、経済的な裏付けがないのに、資産価格だけが上昇する現象のことです。その定義からすると、今の株価は決してバブルではないと考えます。

日経平均の予想PERは15倍台と標準的で、数十倍~百倍以上をつけていた1990年頃の「バブル景気」や2000年頃の「ITバブル」とは明らかに異なるものです。

企業は確実に利益を伸ばしています。経常利益は20年前の約3倍となり、このことが同じ株価でもPERが適正な範囲にとどまる要因となっています。特に、リーマン・ショック以降各社はコスト削減を進め、利益を出しやすい体質になりました。

そこへ世界的な景気拡大の波が押し寄せました。日本も1960年代後半の「いざなぎ景気」を超える、戦後2番目に長い景気拡大期にあります。ちなみに、最も長いのは2002年から始まる「いざなみ景気」で、ITバブル崩壊からリーマン・ショックまで続きました。

金融緩和がガソリン、中国の投資がエンジンとなり経済が回る

景気は何もしなくても循環するものですが、最近の景気拡大には少なからず人為的な要因が寄与しています。各国の金融緩和と中国の投資拡大です。

世界各国は、リーマン・ショックで大きく落ち込んだ経済を活性化させるため、金利を下げ、市場に出回る資金を大幅に増加させました。これを金融緩和と言います。企業や個人はお金を借りやすくなり、経済は徐々に回復しました。

既に先進国の失業率は最低水準になるなど、経済は十分に回復したと言えます。それでも急に緩和をやめるとショックが大きいことから緩和の縮小は後手に回り、いまや「カネ余り」と言われるような状況が発生しているのです。

余ったカネをうまく吸収しているのが、中国による投資拡大です。かつては公共工事が中心でしたが、現在は液晶や半導体といった民間企業によるハイテク分野への投資も積極化しています。現代の経済はグローバル化しているため、そこに連なる世界中の企業への受注が急増しています。

お金が溢れている一方で、中国による投資が世界的な「実需」を生み、一見すると何不自由ない好景気を演出しているのです。

Next: バリュー投資家にとって今が「我慢できるかどうか」の正念場

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