どこまでも追い込んでくるAIアルゴ
怖いのは、AIアルゴは週足から始まって日足、さらに短い1時間足、5分足、1分足に至るまでトレンドが出ているかどうかを常にチェックしており、動きが出れば時間足に関係ない、いわば容赦なき順張りの追随をはじめることも判っています。
人間の世界では高値だとさすがに気が引けるような場面でも、AIは臆せず買いを入れてくることになりますから、ストップを入れて一定の覚悟を決めたうえで、我々も動きはじめたらついていくことが求められる状況です。
昨年のトランプラリーが始まった11月相場や今年のNYダウの動き、さらに総選挙が決まってからの日経平均の爆上げ状態では、50日以上の移動平均線の日足のボリンジャーバンドをことごとく相場が上抜けて外側で推移するという、驚くべき状況が続きました。したがって、ボリンジャーバンドを逆張りに使っていた向きは、ほぼ踏み上げられて損切全滅となったことは言うまでもありません。
ただ、こういう高値順張りのAIアルゴも、相場に変化が出るといきなり反転して反対売買に突っ込み、しかも他のアルゴの動きに追随するので、驚くほど相場が下落してしまうケースもあるのです。日経平均の2万3300円超からの反転がAIアルゴに仕業かどうかはわかりませんが、それに近い向きがいきなり売り向かったことだけは間違いないようで、こうした驚くべき相場が示現しやすくなるのです。
また一定のトレンド終了後に相場が異常に上下するような動きも、アルゴの関連性が高く侮れない存在といえます。
人がAIに勝つ要素はどこにあるのか?
ここまでお読みいただくと、人はAIに勝てるのか、絶望的な気分になってしまいます。それでもAIは、現実的には完全に勝利することはできない状態が続いています。つまり、AIでは想定できない事業や要件が相場に入り込んでくると、うまくいかなくなることが予想されるわけです。
たとえば実需の買いや売りなどはそれにあたるでしょうし、オプションが大量に設定されていて相場がスタックしてしまうような状態も、プライスアクションで人が認識できることが、意外にAIには認識できていないこともありそうです。
どうもこのあたりに、人が裁量取引で勝利できそうなエッセンスが隠れているように思えます。
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