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「今の場所」で自分は本当に勝てるのか? 賢明な投資家の情報収集術(完)=俣野成敏

【地味なことの積み重ねの先に成功がある】

一見、どんなに華麗なキャリアを歩いているように見える人であっても、実際は「地味なことの積み重ねの結果」であることが多いものです。むしろ、人が注目しないようなことや、誰もやりたがらないことをコツコツと積み上げている人が、より大きな成功を手にしています。事例を挙げてみましょう。

日本の元外交官で、現在は主に評論家として活躍されている孫崎享(まごさきうける)氏。孫崎氏は、東京大学法学部在学中に、外交官採用試験を受けて合格し、大学を中退して外務省に入省します。駐在員として勤務した後は、各国大使などを歴任後、2009年に退官して現在に至っていらっしゃいます。

まさにエリート人生を歩いてこられたワケですが、氏の情報課長だった時の普段の仕事は、華麗とは程遠いものでした。1984年、まだインターネットも普及していない時代に孫崎氏が行った情報伝達手段とは、1日1枚、1ページで上司に報告する日報の作成でした。氏は、忙しい外務大臣や次官に「どうしたら自分の報告書を読んでもらえるか?」と頭をひねります。

これらの要人は多忙である。情報の吸収は有益であると分かっても、急ぎの用は他に多々ある。情報に関しては一日一枚、手にするのが限度である。一枚読む時間もない。したがって、この一枚の紙も『要旨』から始めた。二〇〇字程度である。この出来不出来で、読んでもらえるか否かが決まる。…私が分析課長として最も力を入れたのは、日々の案件の選定と、二〇〇字ほどの要旨作成である。

※出典:『日本の「情報と外交」』(著:孫崎享/刊:PHP研究所)

ここには、孫崎氏の後の出世を暗示するヒントが書かれていると思います。

これを自分に置き換えて考えてみると、まだ仕事で自分の得意分野が見つかっておらず、芽も出ていない修行時代で大切なのは、「とにかく相手の役に立つことを考える」ことです。「相手」とは通常、上司顧客などになるでしょう。孫崎氏が忙しい上司に代わって気を配る仕事振りは、大いに参考になるのではないでしょうか。

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