日本の「企業戦士」を戦死させないために
日本ではまだ会社に忠誠を誓う企業戦士が多く、企業が無理を言ってもかなり通ってしまう面がありますが、それでも若い世代では「ジョブ・ホッピング」(転職)が増えてきています。
米国では25-34歳の人で、1企業への平均滞留期間は3年、20-24歳では1年3か月にすぎないと言います。これはいずれ日本にもやってきます。
ほかの企業でもやっていける優秀な人ほど流出しやすく、能力の低い労働者ばかり残った企業の業績は当然落ちます。そのコストと、優秀な人材を引き留め、さらに集めるために、社会的評価を高める「ウエルネス投資」を増やすのと比較すれば、従業員のために金をかける方が安上がりとなります。
米国では社内カフェテリアの他に、社内ジムを設けるところもあり、職場にチームをつくり、チームごとに健康増進競争をさせ、優勝チームに賞金を授与したり、社内運動会を復活させたりする企業もあるようです。金をかけなくても、ドレス・コードを緩和して、自転車通勤を可能にしたり、昼休みに散歩をしやすい服装に変えるだけでも違います。
企業によっては、トップが率先して階段を利用し、エレベーターを使わないようにしているところもあり、健康増進に貢献している話も聞きます。
日本は企業が利益を上げても、それを労働者に還元せずに内部留保に蓄積したものが370兆円もあります。これを直接賃上げなどに使うと固定費を高めてしまう面があるので、せめて従業員の仕事環境改善や健康増進のための投資に回すことを考えてはどうでしょうか。政府はそうした企業に税金面で恩典を与えるなどのインセンティブを与えればよいのです。
残業時間を年に720時間に抑えるとか、サブ-ロク協定を厳格に運用するとかというレベルの議論をしていたのでは、いつまでも従業員の健康や幸せへの到達は見えてきません。企業経営者の従業員、職員への気持ちの持ち方を改革する必要があり、それを促すような市場のチェックが働くようなシステムが必要で、そのためには労働者の移動も前提となります。
そのためには、まず政府の「働き方改革会議」の改革から取り組む必要があります。
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※本記事は、『マンさんの経済あらかると』2017年2月20日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
『マンさんの経済あらかると』(2017年2月20日号)より抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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金融・為替市場で40年近いエコノミスト経歴を持つ著者が、日々経済問題と取り組んでいる方々のために、ホットな話題を「あらかると」の形でとりあげます。新聞やTVが取り上げない裏話にもご期待ください。