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米利上げは12月が有力=FOMC議事録はギリシャ・中国を懸念、原油価格の下落に注意したい

ギリシャ、中国情勢が米国の利上げに与える影響は?金融アナリストの久保田博幸氏は、8日発表のFOMC議事要旨を解説し、「いずれも米国経済への影響は限定的」としつつも、「イエレン米FRB議長はバーナンキ前議長のテーパリングにならい、12月まで様子をみて利上げを決定するのではないか」と予想しています。

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ギリシャや中国情勢をみて、FRBの利上げは12月か

ユーロ圏の混乱と米国への飛び火を懸念 FOMC議事要旨

7月8日に公表された6月16から17日に開催のFOMC議事要旨は、原油安とドル高の一服で物価の下押し圧力が後退し、低インフレ状態から脱却する公算が大きいと指摘した。

何人かのメンバーはすでに利上げ可能な状況、もしくは、近く環境が整うと主張したが、成長力と雇用が強まり、インフレ率が上昇へ動き出したデータを待つ必要があるとの慎重論が議論の主流を占めたようである。

さらに国外情勢について、複数のメンバーは当面の不確実性として、ギリシャ支援協議が合意に達するか否か、中国と他の新興国の成長率低下に言及していた。

参加者からは、(ギリシャと債権団が)見解の相違を解消できない場合、ユーロ圏の金融市場が混乱したり、その影響が米国に飛び火したりする恐れがあるとの強い懸念も示されていた。

ギリシャの本質は地政学リスクだが影響は小さいか

それではもしギリシャがデフォルトし、ユーロ圏を離脱するような事態となった場合、FRBの年内利上げは見送られるであろうか。また、中国株の下落もあったが、中国経済の減速がFRBの利上げに影響を与えるであろうか。

ギリシャに関しては、仮にグレグジット(編注:ギリシャのユーロ圏離脱)となったとしても、その金融経済への影響はギリシャ国内にほぼ止まると予想される。すでにギリシャは計画的にデフォルトを経験しており、民間金融機関に与える影響は軽微なものとなろう。

むしろ、焦点は地政学上の問題、つまりは政治の問題となる。もしこれでユーロのシステムが大きく揺らぐとかになれば、欧州経済に影響が出て、それが米国経済に何かしらの影響を与えるかもしれないが、その可能性も小さいと思われる。

中国の影響は軽微も、原油価格の下落には注意が必要

中国については株価の調整はやむを得ない面もあり、実態経済の減速も避けられないのではなかろうか。

それでも世界経済を中国が支えているような過去の図式とは、だいぶ変化も生じており、こちらも米国経済に直接どれだけ悪影響を与えるかといえば、限定的なものに止まるのではなかろうか。

ただし、ギリシャや中国情勢が原油価格の下落要因となれば、物価上昇を抑制することも予想される。

日銀は70ドルあたりまでの戻りを期待しているようだが、そこまで戻らず再び下落することも可能性としてはないとは言えない。

いずれにしてもFRBが決定するのは、米国の金融政策であり、自国の経済に直接マイナスの影響が及ばないものであれば、それが利上げの妨げになることはない。とはいえ、ギリシャにしてもユーロ離脱となれば、その後の経済への影響も確認する必要はある。

イエレン議長は早ければ9月にも利上げを行うことを示しているが、あくまで年内というスタンスでもある。

バーナンキ議長がテーパリングをやはり市場が予想した9月ではなく12月に決定したように、イエレン議長も12月まで様子をみて決定するのではないかと、個人的には予想している。

牛熊ウイークリー』(2015年7月10日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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