激変してきた明治初期からの貨幣事情
なんでも今年は明治150年だそうで、それにちなんで明治維新を振り返る機会が増えた気がします。
そこで、明治初年当時の貨幣事情について、少し考えてみたいと思います。
明治に入って新政府は通貨体系を一新しました、それまで使っていた小判や銭などを廃し、新しい世界標準のまん丸い通貨を導入したわけです。
江戸幕府が外国と結んだ不平等条約の改正を訴えるため、あるいは欧米との貿易で不利益を被らないためにも、新政府は世界に通用する通貨体系を導入する必要があったのでしょう。
新通貨制度の制定に伴ってコインも一新されました。
江戸時代に金、銀、銅が混在していたのを改め、高額コインは金貨、中額コインは銀貨、庶民が使う低額なコインは銅貨というように、コインはその額面によって材質の使い分けが行われたわけです。
1円銀貨(円銀)の当時の価値とは?
金・銀・銅の3種のコインの中で、今回お話したいのは、円銀(えんぎん)と呼ばれる1円銀貨についてです、
1円銀貨が最初に作られたのは、明治維新から少し遅れ、明治3年になってからのことです、コインのデザインや鋳造機の購入、制度の整備や告知など、準備期間が必要だった
からでしょう。
当時(したがって明治3年)の1円玉の諸元について紹介させていただきますと、例えば、
・重量:約27グラム
・直径:約38.5ミリ
・材質:銀90%、銅10%
・鋳造枚数:約368万枚
などとなっております。
当時の1円玉はずいぶんと立派です。感覚としては現在の1オンス金貨のサイズで、今の1円玉に比べるとマグロと小魚ほどの違いがあります。
新しい通貨法によって、江戸時代の1両が1円になると同時に、その1円=1ドルでスタートしていますが、当時の1円は今の価値に直すと2万円ほどの価値を持っていたようです。
あれから150年、1円銀貨の現在価値は?
あれから150年。当時、皆さんのご先祖様が手に入れた1円銀貨をタンスにしまい、その1円銀貨を現代の皆さんが見つけたとすればどうでしょう。
その1円玉は、いったいどれほどの価値があると思われますか?
もちろん状態にもよりますが、仮に未使用状態のまま明治3年発行の円銀が見つかったとしたら、その価値は10万円ほどになるでしょう。
オークションに出品し、オークション会社の手数料10%が差し引かれたとしても、9万円ほどは皆さんの手元に残る勘定です。
上記のように明治初年当時の1円は現在の2万円ほどの価値ですから、ご先祖様は正しい選択をしたといえるでしょう。