1万6,000円以下で政府・日銀が動く
2014年4月、消費税を5%から8%へ引き上げたことで消費が落ち込み、13年12月に1万6,320円まで上昇してきた株価は、その後、1万4,000円を割れる程度まで下げています。
日銀は、2014年10月に追加の金融緩和を実施して、その後、日経平均が2015年に2万円を越える程度まで上昇しています。
以前にも紹介しているので、どのような規模かなどの詳細は省略しますが、1992年、1995年、1998年など、日経平均が1万6,000円を割れる場面では、必ず大規模な経済対策が実行されて、その後の株価を押し上げています。
2000年以降、2003年まで継続する長い下降局面へ入り、株価は1万円以下まで落ち込んでいます。このときも、1万6,000円以下へ落ち込んだ2001年には、日銀が量的金融緩和を実施しています。
政府の緊縮財政政策の継続と、銀行の不良債権問題がくすぶり、市場全体の弱気の流れを転換することができませんでしたが、1万6,000円以下に対して、政府・日銀が反応していることは確かです。
2007年以降の低迷は、外的要因による暴落と、政権をとって間もない政党が判断の基準を持っていなかったのだと見れば、このときの値位置を除外することができます。
これまでの経緯と、前述した2014年10月の追加の量的緩和を実施したときの日経平均の値位置からは、1万6,000円以下という水準が、政府、日銀の強く意識している場所であることが推測できます。
やや極端な2つのシナリオ
ここまで、「2019年10月の消費税の引き上げ」「安倍首相の任期」「日経平均の1万6,000円という値位置が強く意識されている可能性」について紹介しました。
以下では、これらのポイントから推測できる今後の読み方の中で、少し極端な2つの展開を書いておきます。
<シナリオ1>
1つ目は、来年3月頃までの期間で、日経平均株価が1万6,000円付近まで下げる展開です。2月に前年の9月から1月までにつけた安値を割れる動きになる場合、必ず、その年のうちに大規模な経済対策が実施されて、その年の安値が底値になって、1年程度かそれ以上継続する上昇局面へ入ります。
こちらの展開になる場合、消費税の引き上げは変更せず、消費税の引き上げ分で得られる税収を越える経済対策を実施するという選択を行い、消費税引き上げを見越して下げた分を戻す動きへ入るという流れになると考えられます。
<シナリオ2>
2つ目は、本年年末の日経平均が2万円を大きく下回る展開にならなかった場合。そうなると、消費税引き上げによる株価の下落場面が2019年にあらわれると考えられます。
消費税を引き上げた後、日経平均株価が1万6,000円を目指す展開となったとしても、政府は効果のある経済対策を実施できない可能性があります。
理由は、GDPが伸び、失業率が大幅に改善している現在でも、アベノミクスの効果ではないと言っている側の勢力が強く存在しているからです。日銀がすでに引き締めを迫られている中で、さらなる量的緩和を実施し、政府が赤字国債を発行して大規模な経済対策を実施するのは難しい状況になります。
安倍首相に十分な任期が残されているなら、自分の責任においてそれを指示することができますが、その期間がありません。
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