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寄付よ、被災地へ確実に届け! ブロックチェーンがもたらした5つの革新=高島康司

<その3:透明度と信頼性の確保>

慈善事業の大きな問題のひとつは、透明度の欠如である。

集めた資金が支援先に届いたかどうか分からないプロジェクトがある。金融システムが十分に整備されていない地域に支援金を届ける場合、多くの中間組織に依存せざるを得ない状況がある。そうした中間組織のすべてが信頼できるとは限らない。その結果、支援金を必要としている人々に届く前に、掠め取られてしまうことも多い。特にこれは、支援先が内戦で荒廃した地域や、大災害の被害を受けた辺境であるときはそうである。

また、慈善事業には資金の不正使用を意図的に行う財団もある。一見するとこれらの組織は正当な慈善事業を行っているように見えるものの、実際に集めた資金がどのように使われたのかはっきりしない。

日本では報道されていないようだが、クリントン財団の資金にも使途不明金が多いとされ、海外ではスキャンダルにもなっている。特に、2010年のハイチ地震のとき、クリントン財団はかなりの額の寄付を集めることに成功したが、それが実際にハイチに送られ、支援・復興事業に使われたのか疑問が多いとされている。トランプ大統領もこの件を激しく非難している。

ブロックチェーンのプラットフォームを導入すると、送金を仲介していた中間組織は排除できる。ブロックチェーンは、高度に暗号化した送金のデータをブロック化し、それをチェーンで結んで分散台帳に管理する技術である。第三者が、どれかひとつのブロックを改ざんしたりコピーしたりすると、分散台帳すべてがだめになる仕組みだ。そのため、送金された資金が途中で奪われる可能性は非常に低い。資金はほぼ確実に送信先へと送られる。

昨今は取引所がハッキングされ、仮想通貨が盗まれる事件が多数起こっている。これは送金過程で起こったことではなく、取引所が保管している仮想通貨が盗難された事件だ。したがって、いまでも送金の安全性は確保されているとの認識が強い。

こうした透明性が、多くの中間組織が送金を媒介している慈善事業の分野では信頼性の源泉になる。

<その4:慈善活動の自動化>

プログラムの実行機能を実装したスマートコントラクトのブロックチェーンを活用すると、企業収益の一部が自動的に慈善事業へと寄付するシステムが構築可能になる。

さらにこうしたスマートコントラクトのブロックチェーンにAIを内蔵させた場合、AIがもっとも効果的な慈善事業のプロジェクトを自動的に評価し、寄付をすることができる。

<その5:IoTの活用とトラッキング>

もちろん、慈善事業の寄付の対象となるのは資金だけではない。あらゆる物資が支援の対象となる。しかしそうした物品の援助でも多くの中間組織が介入しており、信頼性のない組織によってせっかくの支援物資が目的地に届く前に盗まれてしまうこともある。

これを防止するのは、IoTのセンサーを援助物資に組み込み、ブロックチェーンでトラッキングする方法だ。この方法を活用すると、たとえ援助物資が輸送途中で盗まれたとしても、どの経路でいつ盗まれたのか明確に把握できる。

このIoTのトラッキングシステムによる透明性が、援助物資盗難の防止になるはずだ。

Next: うまく機能しなかった例も。投資対象となる有力なプロジェクトは?

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