うまく行かなかった早期の例
このように、ブロックチェーンの慈善事業分野への適用には無視できないメリットがある。そのため、ブロックチェーンがテクノロジーとして注目されはじめた当初から、この分野への応用は始まっている。しかしながら、そうした早期の応用はあまりうまく行かなかった。
失敗したわけではないが、予想したほど注目を集めなかったプロジェクトにイギリスの「王立救命艇協会(RNLI)」がある。ここは、イギリスとアイルランド周辺の沿岸や海における救命活動を行っている組織だ。
早くも2014年からビットコインによる寄付を受け付けたものの、思うように寄付は集まらなかった。「王立救命艇協会」の管理者によると、その理由は、2014年当時ではビットコインにはダークなイメージが付きまとい、チャリティーに集まる多くの人々が警戒したからだという。そうした残念な状況にもかかわらず、「王立救命艇協会」はいまでもビットコインによる寄付は受け付けている。
一方、2016年前後からの相場の急上昇によるビットコインの認知度の高まりから、ビットコインによる寄付は拡大している。現在は「赤十字社」や「セーブ・ザ・チルドレン」のような最大手の慈善団体もビットコインの寄付を受け付けている。慈善団体、「フィデリティー・チャリタブル」は、2017年にはビットコインで6,900万ドルを集めた。2015年度と2016年度を合わせた金額は700万ドルだったので、これは予想を越えた増加だ。
注目されているプロジェクト
このような慈善事業における仮想通貨とブロックチェーンの適用だが、すでに先進的なプロジェクトがいくつかスタートしている。それら、既存のプロジェクトを紹介しよう。
最初は、「クラウドファンディング」で慈善事業のために資金調達するプラットフォームだ。一般的に寄付はビットコインで行われている。
様々な団体にビットコインで寄付:ビットホープ(BitHope)
公式サイト:https://bithope.org/
ホープコインの相場:https://www.coinexchange.io/market/HOPE/BTC
ビットホープはさまざまな慈善事業にビットコインで寄付をするためのクラウドファンディングのプラットフォームだ。ここにアクセスするだけで、多くの慈善事業に同時に寄付ができる。
寄付をするとホープコイン(Hopecoin)というトークンが配布される。これは、複数の慈善団体が作るマーケットプレイスでサービスや物品を購入するために使うことも可能だし、また将来は仮想通貨市場に上場するかもしれない。すると、投資の対象になる。