韓国でサムスン電子に次ぐ第2位の企業「現代自動車」が危機に直面している。自動車業界全体が衰退へ向かっており、労組の賃上げ要求が追い打ちをかけているのだ。(『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』)
※本記事は、『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』2018年7月15日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
販売不振と賃上げのダブルパンチ。これは韓国経済全体の問題だ…
「現代自動車」が直面する内外の危機
今回は、韓国でサムスン電子に次ぐ第2位の企業「現代自動車」の危機について解説する。
さすがにこのまま現代自動車が経営破綻なんていうことはまずないだろう。それでも、現在は「危機」と呼べるほどの悪材料を抱えている。それも内と外で。
順番に追っていくが、まずは外からだ。
韓国の自動車業が衰退へ向かっている
これは現代自動車の問題だけではなく、韓国の自動車生産がどんどん落ちているということ。
中国には一気に抜かれて5位に、その後も順位を少しずつ落として、インド、メキシコに抜かれ、現在は7位に転落した。
そして、もうすぐスペインにまで抜かれて8位となるようだ。自動車生産上位10カ国のうち2年連続で減少を記録したのは韓国だけという。
その原因というのは米中といった主力市場での現代自動車の苦戦である。しかも、これはまだ米中貿易戦争前の話である。仮に米中貿易戦争が長期化すれば、韓国自動車にとっては厳しい展開が待っている。
また、当メルマガでも何度か特集したが、韓国GMの群山工場が閉鎖されて、韓国での生産量が大幅に減った。ルノーサムスン自動車も販売量が振るわない。
このように、韓国自動車に良いニュースがない。しかも、日本のトヨタ(韓国トヨタ)やフォルクスワーゲンなどが韓国で売上を伸ばしているともいう。
気が付いたら自国内での自動車市場も他国のメーカーに攻略されていきそうな展開である。
現代労組「賃上げストライキ」が首を絞める
外では他国の自動車企業に押されている現代自動車だが、内では世界最凶の労働組合「現代労組」に足下を見られている。現代労組は今年も賃上げストライキを行う予定で、既に投票で可決された。
ストライキを行う権利は合法なので、それを止める手段はない。韓国自動車業界そのものが苦しい時期において、毎年、人件費のコストが増大しているのだ。
すでに現代自動車の賃金は、トヨタやフォルクスワーゲンなどよりも高いという。こうして現代自動車は今後、ますます厳しい情勢に立たされるだろう。
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