fbpx

災害そっちのけで「カジノ法案」を急いだ安倍政権、裏にどんな利権があるのか?=斎藤満

仲良し業者に利益

法案は通りましたが、具体的なことは何も決まっていません。従って、これからカジノ、IRビジネスに絡みたい業者が安倍政権に接近し、便宜供与を狙ってきます。

獣医学部新設、安倍晋三記念小学校が新たにディーラー養成学校に代わり、カジノ管理委員にはまた政府に協力する「友人」が選ばれ、リゾート開発でもまた、政府に協力的な業者が建設を請け負うことになります。

一部のグループに利益が集中しないよう、公平公正な人事、業者選定がなされるよう、国民の監視が必要になりますが、そこは老練な政府です。彼らには「赤子の手をひねる」ようなものかもしれません。

唯一、合理性があるとすれば、2020年のオリンピック後には、一般に反動としての景気後退が予想されます。これに向けて、IRビジネスが新たな建設需要などによって、景気の反落を穴埋めする期待はあります。

訪日客増は期待薄

これまで政府は、カジノによって訪日外国人が大幅に増えると説明、いずれ訪日客を年6千万人にして景気拡大を図る上では不可欠な手段と言ってきました。

しかし、シンガポールにしても、カジノホテルができたから外国人観光客が増えたわけではありません。国際会議や文化活動が総合的に評価されて観光客も増えたと考えられます。

また、各国のカジノがみな盛況というわけではなく、衰退するものも少なくありません。

少なくとも、カジノを作れば外国人がたくさん日本にやってくる、というのはかなり怪しい発想です。外国人旅行者に聞いても、日本の文化に触れたいとの意向が強く、カジノができればそれを目的に来日との声はほとんど聞かれません。別の調査でも、カジノができても利用者は外国人旅行者でなく、日本人との調査結果も見られます。

世論の反対に耳を傾けよ

外国人の客寄せにならないとすれば、日本人に利益となるのか。そこは国民の圧倒的多数の「反対」に耳を傾ける必要があります。

日本には博打、賭け事の機会が少ないわけではありません。大衆娯楽レベルの博打としては、パチンコにはじまり、競馬競輪競艇と、外国に引け劣らない数の博打施設があり、主要国以上に日本では博打の機会が多いと言われます。しかも、これらは入場料6000円を払う必要がない、無料施設です。

親がパチンコに夢中になっている間に子供が車の中で死亡する痛ましい事件が少なくなく、博打で損をして借金漬けとなり、人生を棒に振るケースも少なくありません。このうえ、さらに博打の機会を増やし、一攫千金の夢をあおる必要があるのか、多くの国民は疑問視しています。

Next: 博打場を増やし、ギャンブル依存症対策を練る矛盾。若者が貧困層へ…

1 2 3 4
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー