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米国民の半分は2007年時点よりも貧乏に。これから伸びる理由がない米国経済

米国ミネアポリス地区連銀の調査によると、米国民の半分は「2007年時点よりも貧乏」になっているようです。これでは今後の消費やGDPの伸びは期待できません。(『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』)

※本記事は、『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』2018年8月16日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

金融資産を持つ富裕層だけが肥えていく。持たざる者達の末路は…

取り返しのつかない「米国の格差」

ミネアポリス地区連銀・研究調査部門による「米国の貧富格差に関する長期レポート(PDFファイル)」が発表されました。ここでも格差の拡大が懸念されています。

なんでも、米国人の半分は11年前の超不況以前よりも貧乏になってしまったというのです。海外の報道を翻訳しながら、ポイントを解説します。

米国民の格差調査は、ほとんどが年収格差に対してのみで、資産格差については良いデータが存在しない

この度、ミネアポリス地区連銀の研究部門である、Opportunity & Inclusive Growth Instituteの2018年6月調査によると、過去70年間の米国の格差形成は、年収の格差だけでなく、株式等の金融資産および複数の住宅(別宅、別荘等)の保有による格差が拡大していることがわかった。

今回の分析では、所得、預貯金、不動産価値、株式保有、その他の資産のデータを分析して米国の格差を浮き彫りにした。

1970年以降の収入の分極化(超高収入と低収入)で、中間層が少なくなっている。特に白人と黒人の経済格差は全く減少していない

簡潔に言えば、中間層の資産は主に自宅のみなのだ。

これに対し、トップ10%の主要な資産は株式・債券などの金融資産で形成されている。

出典:Income and Wealth Inequality in America, 1949-2016 | Opportunity & Inclusive Growth Institute(2018年6月14日配信)

中間層が資産として持つ「住宅」は伸び悩む…

住宅価格は、1950年から2000年代まで上昇。しかし中間層の収入は伸びなかった

2009年以降は、株価は急速に回復し、金融資産も大きく伸びた。しかし中間層が所有する住宅価格は伸び悩んだので、中間層と富裕層の格差は拡大したのだ。

出典:同上

収入の格差は言わずもがな…

1970年から1980年代後半の期間で、下層50%の米国民全体の総収入に占める割合は21.6%から16.2%へ減少した。それに対し、トップ10%は30.7%から39.9%へ増加した。

2016年に至っては、下層50%の総収入に占める割合はさらに2%近く下がり14.5%に減ってしまった。対してトップ10%は、8%弱増えて47.6%にまで伸びたのだ。

つまり、低所得者層の収入はさらに下がり(21.6%→14.5%)、他方で高取得者層の収入は逆に大きく伸びた(30.7%→47.6%)のだ。

出典:同上

どの数字を見ても、貧富の差の拡大が浮き彫りになっている。次項では、レポートから抜き出したチャートを紹介しながら、米国が直面する問題についてお伝えしたい。

Next: 数字を見れば一目瞭然。この10年で「富裕層の資産」だけが急成長した

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