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パウエルFRB議長講演で米株高へ、トランプをも転がす「実務派」は米経済を救うか=近藤駿介

海外報道もパウエル議長を評価

7月17日付のWSJは「『超党派』FRB議長、議会対策で本領発揮」と題する記事で、就任5か月目に入ったパウエル議長の仕事ぶりに対して次のように報じている。

就任から5カ月目に入った米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は、議会対策に膨大な時間と精力を注いでいる。

公務記録によると、パウエル議長は就任後の4カ月間に議員18人(共和10人、民主8人)と個別に面会。また、議員8人(共和4人、民主4人)と電話で会談した。

対照的に、ジャネット・イエレン前議長は就任最初の4カ月間で議員3人(共和2人、民主1人)としか会わなかった。電話会談は民主党議員4人にとどまる。

パウエル議長は先週放送されたラジオ番組『マーケットプレイス』のインタビューで、議員と面会するため議会に通い詰めているので『議事堂のじゅうたんがすり切れてしまうだろう』とした上で、これは『FRB議長にできる大変重要なことだと思う』と述べた

出典:『超党派』FRB議長、議会対策で本領発揮 – WSJ(2018年7月17日配信)

「中立金利」を持ち出したパウエル議長

トランプ大統領による利上げ牽制発言に対して、理論的仮説である「中立金利」を持ち出したパウエル議長だったが、「星の位置は認められるところからほど遠いこともある」という表現を使って金融政策の上では「中立金利」を重要視していない姿勢を見せた

6月18日にダドリーNY連銀総裁が辞任し、後任に「中立金利」研究の第一人者であるサンフランシスコ連銀総裁であったウイリアムズ氏が就任した。NY連銀総裁はFOMCの副委員長の要職を担う重要なポストである。そうした中でFOMCの委員長であるパウエルFRB議長が「中立金利」を重視しない発言をしたことは興味深いことである。

22日に公表された7月31日~8月1日開催のFOMC議事録要旨からも、ウイリアムズNY連銀総裁が副委員長に就いたことで改めて「中立金利」や「逆イールド」に関して突っ込んだ議論が行われた様子は見られなかった。当然、トランプ大統領による利上げ牽制発言についても全く議論されなかったし、トルコリラの急落などについても議論がされた形跡は全くなかった。

さらにパウエルFRB議長は、インフレは「もはや労働市場の引き締まりと資源利用への圧力の高まりを指し示す、第一の目安でも最良の目安でもなくなったのかもしれない」と、既存経済学のフィリップ曲線に対する疑問までも投げかけた。

Next: イエレン路線との決別か。「実務家」パウエル氏が語った意味深な言葉

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