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石破氏の失敗と、揺らいだ安倍一強体制。今後3年で国民が払う大きなツケとは?=近藤駿介

アベノミクスは、好調な米国経済の後押しがあってこそ

株式市場は安倍3選を歓迎し、日経平均株価は年初来高値にあとわずかといえるところまで上昇してきた。

しかし、それを日本経済の実力が反映された動きだと思い込むことは危険である。様々なトランプリスクを抱えながらも史上最高値を記録してきた米国株式市場の後押しがあってのことだからである。

そして、米国の好調な経済と株式市場を支えているのは、昨年末に実施された減税策である。トランプ大統領による減税策とFRBの慎重な金融政策によって物価の安定と雇用の最大化を実現させた米国。

それを背景とした米国株高から追い風が吹いているお陰で、5年半も「異次元の金融緩和」を続けながらも「2%の物価安定目標」を達成できる目途も立っていない日本の株価も好調な展開を保てていることを忘れてはならない。

アベノミクスの成果を疑わない安倍首相

好調な日本経済と株価をアベノミクスの成果だと思い込んでいる安倍政権は、来年には消費増税に踏み切ろうとしている。

米国が減税と漸進的な利上げによってインフレなき経済成長を達成しつつある中、デフレからの脱却すらできていない日本が、米国とは真逆の金融緩和の継続と消費増税という政策ミックスで経済の成長を目指すという構図は違和感を覚えるものである。

多額の貿易赤字を抱える米国が減税で内需拡大を目指す一方、多額の対米貿易黒字を抱える日本が消費増税によって内需を冷やす方向に動くのでは、日米間の貿易不均衡が解消に向かうことは期待薄である。教科書的に言えば、日米間の貿易不均衡を解消するためには、貿易赤字国の米国が減税をするなら、貿易黒字国である日本は米国以上に減税しなければいけないことになる。

安倍総理が強調してきたアベノミクスの成果は、米国からの追い風と、日銀やGPIFによる株式市場への介入によって嵩上げされた虚構の景気回復でしかない

今回、安倍3選が決まり虚構の景気回復が容認されることになったことで、当面アベノミクスが継続されることが確実になった。忘れてならないことは、虚構の景気回復の演出期間を延ばせば延ばすほど、将来の日本社会が支払うべきツケが大きくなることだ。

Next: 増幅されたアベノミクスの副作用が、3期目とポスト安倍に襲いかかる…

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