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石破氏の失敗と、揺らいだ安倍一強体制。今後3年で国民が払う大きなツケとは?=近藤駿介

揺らいだ「安倍一強体制」

石破氏の善戦は、安倍一強体制が盤石なものではなくなってきたことを示す結果となった。しかし、それは同時に来年10月に予定されている消費税10%への引上げが確実になったことを告げる結果でもあった。

安倍総理は今回3選を果たし、2021年9月まで在任が可能になった。しかしそれは、自民党総裁の任期が「連続4期12年」に再延長されることがない限り、安倍政権のゴールが見えたことでもある。

これまで安倍一強体制を支えてきたのは「まだまだ安倍政権が続く」という議員心理である。勝ち馬に乗ることを目指す多くの議員達にとって、安倍晋三という勝ち馬が存在したことは好都合だった。しかし、安倍晋三という勝ち馬の引退時期が決まった今、彼らは新たな勝ち馬を探さなければならなくなった。それは安倍総理がこれまでのような求心力を持ち続けることはできないということと同義でもある。

来年10月の「消費税10%」は確実に来る

石破氏の善戦によって党内に「隠れアンチ安倍派」が予想以上に存在することが明らかになったことに加え、善戦した石破氏の存在は無視しえないものとなった。こうした状況下で安倍総理の求心力が落ちていくということは、来年の消費増税実施は避けられなくなったということでもある。

安倍総理が2015年に引き上げられる予定だった消費税10%への引上げを2回も先延ばしして来たのも、自民党総裁、総理の座を維持するという強い意欲を持っていたからである。そして、「まだまだ安倍政権が続く」という雰囲気がそうした安倍総理の英断を容認してきた。

しかし、「最長でもあと3年しか安倍政権は続かない」という状況に変わった今、安倍総理に消費税10%への引上げを先送りするインセンティブはなくなったといえる。

さらに、例え安倍総理が将来の日本経済に思いを馳せ消費増税の再々延期を目指しても、周囲が「最長でもあと3年しか安倍政権は続かない」という認識を持ち、今回の総裁選で消費増税の必要性だけは具体的に主張してきた石破氏が善戦して党内での存在感を増した今、安倍総理の意向を忖度して消費増税の再々先送りするために汗をかく輩が出て来ることは望むべくもない。

5年経っても有効需要不足を解消できず、「2%の物価安定目標」を達成できないうえに、その副作用が問題になって来ているアベノミクスをさらに3年続けても、これ以上の上がり目は期待できないのが実情である。

そうした中で、日本経済にダメージを与えることが確実な消費増税が実施されることになれば日本経済が深刻な状況に陥ることは想像に難くない。

Next: アベノミクスの成果を信じる安倍首相は、好調な米国と真逆の政策を取る

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