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石破氏の失敗と、揺らいだ安倍一強体制。今後3年で国民が払う大きなツケとは?=近藤駿介

石破氏は「消費税10%」の先にまで言及

アベノミクスに代わる具体的なイシバノミクスを提示できなかった石破氏にとって致命的だったのは、石破氏が唯一具体的に言及した政策が来年10月に迫った消費税10%への引上げだったことだ。

石破氏は消費税に関しては「10%後のことを語っていないのはよくない」と語り、10%への引上げはおろか、消費税10%は通過点に過ぎず、10%を超える水準まで引き上げる考えを持っていることを明らかにした。アベノミクスに対して抽象的な批判をし続け、具体的な経済政策を示すことをしなかった石破氏が消費増税にだけ具体的に言及したことで、結果的に消費増税に関する主張が際立つ結果となった。

「正直、公正、石破茂」をキャッチフレーズに掲げる石破氏にとって、国民に対して耳の痛い厳しい政策にもきちんと説明することが政治家としての責任だという拘りを持っているのかもしれないが、アベノミクスの成果に疑問を抱いている層に訴求できなかった大きな原因になったともいえる。

アベノミクスの恩恵が大企業や一部の富裕層に偏っているという問題点を追及しつつ、その弊害を解消する政策を具体的に提示することなくアベノミクスの恩恵を受けていない国民にも広く消費税を課すという主張が、国民の眼に自らが指摘する問題点の解決を放棄するかのように映ったとしても不思議なことではない。

来年10月に消費税を10%に引き上げるのであれば、石破氏はそれまでの1年間にアベノミクスの恩恵を地方に行き渡らせる具体的な施策を提示するか、消費増税によってこれまでアベノミクスの恩恵を受けられて来なかった国民にも恩恵が及ぶようになることを丁寧に説明する必要があったはずである。

そのどちらも示すことなく消費増税実施だけを断言したことは「正直者の失敗」だといえる。

安倍首相のイメージ戦略が奏功

できれば上げたくないが、昨年の総選挙でお約束した幼児教育の無償化や真に必要な子どもたちの高等教育無償化のために上げなければならない

「正直、公正、石破茂」とは反対のポジションに立つ安倍総理は、消費増税やむなしという考えを示しつつ、「できれば上げたくない」という言葉を添えることで国民の気持ちを理解しているイメージを演出して見せた。

さらに、それによって国民にも恩恵が及ぶことを付け加えることで消費増税容認発言のダメージを最小限にするリスクマネジメントも怠らなかった。

安倍総理は、消費税を引上げるという同じ結論を表明するするのに「消費税はできれば引上げたくない」という言葉を添えることで消費増税に消極的な印象を植え付け、「消費税の引き上げはやらねばならない」と主張する「正直者」との違いを鮮明に浮き上がらせることに成功したといえる。

Next: 揺らいだ「安倍一強体制」、これからの3年はどうなる?

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