低賃金・高収益で上がる日本株
人件費を抑え、企業収益が大きくなっている分、株価がそれに応じて高まります。
民主党政権時には7,000円台にあった日経平均が、足元では一時2万4,000円を回復、この5年余りの間に3倍以上になりました。収益対比で、例えばPERをみれば、まだ14倍程度で、PBRも1.3倍に満たない状況にあり、市場に割高感はありません。
しかし、企業と労働者との間の所得分配のゆがみから、GDPに対しても企業収益の伸びがはるかに高く、企業収益対比でみれば「正常」に見える株価も、GDPとの対比でみると東証一部の株式時価総額は690兆円と、GDPの120%を超え、1989年末のバブルのピーク以来の高さとなっています。「バフェットの天井」からみれば、異常な高さとなります。
これは日本に限らず、米国でも見られる現象です。米国でも賃金を抑え、企業収益好調で米国株は過去最高値圏にあります。そして米国でも「バフェットの天井」を超えています。
日本の場合はさらに超低金利の長期化と円安傾向で株価をさらに押し上げ、米国の場合は新興国資金が米国に流入して株価を押し上げています。
弱すぎる日本の個人消費
問題は、こうしたアンバランスな所得分配、資源配分が維持できるかどうかです。
企業は業績拡大のために、生産や販売を拡大したいのですが、国内需要の大半を占める個人消費が所得抑圧の下で低迷を続け、しかも人口減少も重なって市場の拡大が期待できません。
結局、企業は海外需要に期待し、輸出増・インバウンドを狙いにゆきます。銀座にも外国人向け店舗の増設が見えます。