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カセットコンロだけじゃない!岩谷産業は“国策”水素自動車関連の大本命

悪い話は2015年3月期で一段落、岩谷産業の見逃せない強みとは?

2007年の12月を起点とし、その後の株価(6月、12月の月末)を直近までプロットしました。

取り上げる理由は、代替エネルギーの“水素”関連銘柄としての期待です。結構言い古されたストーリーですが、トヨタ自動車が水素自動車の市販車の発売を開始しましたが予想外の反響で大幅受注残を抱えることになりました。2015年700台、2016年2000台、2017年3000台と生産計画を作成しています。

トヨタの本格生産により前評判は結構高くなっており、当然これは電気自動車が走行距離、給油時間の点でガソリン自動車と比べ使い勝手の点で相当劣位にあるからです。1台500万円程度であれば需要が出ることは理解できます。

  • 一台につき200万円以上の補助はクリーンイメージを得るための大きな国家目標
  • 水素自動車に関しての世界一の技術を確立
  • 次世代においても日本自動車産業の世界におけるリーダーシップ確立を応援

等、テーマとしては申し分ないものです。

関連銘柄として、当社の浮上にはそれなりの意味があります。普及に伴い持続的収益貢献が期待できるポジションにあるからです。

またメーカーと異なり、当社にとってこのビジネスは売り切りビジネスではありません。ガソリン自動車にガソリンスタンドが必要なようにが、水素自動車には水素ステーションが必要となります。

消費者向けエネルギー関連企業、取り分けLPG供給企業としての当社の足跡は誰もが認めるとところです。

無論、水素ステーションのノウハウは海外進出にも生かされることになります。その解りやすさ、既存の業務内容の延長線上に十分なイメージできる会社の最右翼が大手燃料商社の岩谷産業です。

2020年東京オリンピックに向けて東京都は、都バスは可能な限り水素を動力とするものに切り替えることを明らかにしています。

目先の業績をまったく無視することもできませんが、悪い話は、2015年3月期段階でほぼ一段落です。外国人保有比率も2014年3月の12.6%から2015年3月の6.1%へと減少していますが、この現象はこの収益急減を嫌気したものと推測できます。

2014年は相場全体のモタツキ感があるなかストーリー性のある当社株は利益予想が思わしくないにもかかわらず人気化しました。

行き過ぎた分の反動的な下げも出ておりますが水素自動車のストーリーは生き続けております。この類の銘柄は、今後も折に触れて人気する可能性が高いと思われます。

つまり、ポピュラリティーの高い銘柄が、国策の流れに乗れる場合の典型的な例です。内容の持続性を考えると幾つかの波をこえて保有できる資金、つまり個人投資家の制約されない保有期間にぴったりとフィットする銘柄です。

水素自動車関連のシンボルストックとして今後も注目され続けるでしょう。

筆者プロフィール:若林利明
外資系機関投資家を中心に日本株のファンドマネージャーを歴任。現在は創価女子短期大学非常勤講師、NPO法人日本個人投資家協会協議会委員。世界の株式市場における東京市場の位置づけ、そこで大きな影響力を行使する外国人投資家の投資動向に精通する。著書:「資産運用のセンスのみがき方」(近代セールス社)など。

【関連】波乱局面で真価を発揮する「リスク最小ポートフォリオ」の検証

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投資の視点』(2015年10月11日号)より一部抜粋

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