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世界で加速する米国離れと多極化、その中心は日本~日中韓ロの一大貿易圏が生まれる=高島康司

加速する世界の多極化と、その動きの中心のひとつは日本である可能性について解説したい。日本の動き次第で、日中韓ロを結ぶ一大貿易圏が誕生する可能性がある。(『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』高島康司)

※本記事は有料メルマガ『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』2018年11月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

なぜトランプは保護主義を貫くのか?世界は団結して立ち向かう…

トランプ政権「自由貿易否定」の理由

今回は、加速する世界の多極化と、その動きの中心のひとつは日本である可能性について解説したい。

これは今後の世界秩序を決定する非常に重要な動きだが、それを紹介する前に、先頃トランプ政権から発表になった国防関連の報告書を紹介する。おそらく日本の主要メディアでは報道されないと思うので、重要な情報だ。

周知のようにトランプ政権は、中国のみならず日本やEUなどの同盟国に対しても関税を大幅に引き上げ、自由貿易によるグローバリゼーションを断念する姿勢を明確にしている。中国との間で始まった貿易戦争が、世界経済の成長を押し下げるのも時間の問題と見られている。

トランプ政権はこのような保護主義的な政策を採用する理由を、自由貿易に基づくグローバリゼーションでは、アメリカの貿易赤字が大きく不均衡な経済関係を強いられているので、国益を守るためにこれを是正する必要があるからだとしている。保護貿易へのシフトは、あくまで「アメリカ・ファースト」の政策の一環だとしている。

しかし当メルマガでは、トランプ政権の真の目的は軍事的な覇権の再構築であると主張してきた。アメリカの国防産業の基礎になっているのは民間の製造業だが、グローバリゼーションの影響で製造業が空洞化してしまったため、国防産業の産業的な基盤が失われた。そのため、アメリカの兵器システムは、急速に発展しているロシアや中国の最新鋭のシステムに追い抜かれ、その結果、アメリカは軍事的に劣勢な状況に追い込まれつつある。

このような状況を挽回するためにトランプ政権は、

  1. 保護貿易によって国内製造業を保護し
  2. インフラと軍事に対する政府の公共投資を活発に行い
  3. 海外に移転した製造業の生産拠点の国内回帰を実現する

という政策へと舵を切った。

このようにして国内の製造業の基盤を整備して、ロシアや中国を凌駕する強い国防産業を再建することを目標にしている。当メルマガでは、これがトランプ政権の目標であり、現在の保護貿易主義の背後に存在する真の理由だとしてきた。

この仮説は、軍事産業系のシンクタンク「新アメリカ安全保障センター(CNAS)」が2016年の大統領選挙の約1カ月後、次期トランプ政権に向けて提出した『未来の鋳造(Future Foundry)』で提言された内容に基づいている。このレポートでは、アメリカの国防産業は製造業との有機的な連関を喪失しており、ロシアや中国に負けないためには、最先端のITを導入して、国防産業を再強化しなければならないとしていた。

しかしこの報告書では、国防産業の劣化した状況を総論的に解説するにとどまり、状況の深刻さを示す詳細な記述はなかった。

10月に公表された新しい報告書

そのようななか、9月にまったく新しい報告書がトランプ政権に提出された。これは内容は非公開の報告書だったが、10月にその一部が公開された。2017年9月、トランプ大統領は「大統領令13806号」を出し、アメリカの国防産業の実態の調査を命じた。この報告書は、これに対する調査結果として提出されたものである。

この報告書は、『合衆国の国防産業と製造業におけるサプライチェーンの弾力性調査とその強化に向けての報告書(Assessing and Strengthening the Manufacturing and Defense Industrial Base and Supply Chain Resiliency of the United States)』という非常に長い題名の報告書である。

これは国防総省を中心に、あらゆる省庁が協力して編成したタスクフォースによる報告書である。目的は現在の国防産業の産業的な基盤を徹底して調査し、最先端の軍事力の維持が可能であるか査定したものだ。国防産業の基盤の包括的な調査としては、60数年ぶりになるとのことだ。

Next: 300を越える分野で米国産業は劣化、トランプ大統領が抱く危機感とは?

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