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世界で加速する米国離れと多極化、その中心は日本~日中韓ロの一大貿易圏が生まれる=高島康司

多極化の動きの中心のひとつは日本か?

このように、トランプ政権の保護主義を強く非難する発言は、同盟国の多くの政府関係者から相次いでいる。フランスのマクロン大統領もトランプ政権を躊躇なく批判している。

しかし、だからといって、保護主義の理由が軍事的覇権維持のための国防産業再編と強化であるとしたら、トランプ政権の方針が変化することなどあり得ないことだ。むしろ、保護主義の動きは加速するだろう。そして、それの余波として、各国の脱アメリカ化と多極戦略も加速するはずだ。

そして、このような多極化の中心のひとつになっているのは、日本の安倍政権の動きである。

この方向がはっきりと見えたのが、10月26日の安倍首相の訪中である。「競争から協調へ、日中関係を新たな時代へ押し上げたい」とする安倍首相は李克強首相と会談し、通貨スワップ協定の再開や、第三国でのインフラ共同開発で合意した。

ちなみに「通貨スワップ協定」とは、金融危機などによる自国通貨の暴落を回避するために、両国の通貨を相互の中央銀行が持ち合う協定のことだ。たとえば、なんらかの理由で人民元が大幅に下落した場合、中国の人民銀行は手持ちの円を市場で売って人民元を買い支え、下落幅を抑えることができる。また、日銀も同じことができる。

また、「第三国でのインフラ共同開発」とは、言葉の使用は回避したが、中国が「一帯一路」構想で推し進めているインフラ建設への協力である。これで中国と日本は、「一帯一路」でがっちり組む方向に動き出したということだ。

そして、さらにここで注目されるべきは、安倍政権のその後の動きである。訪中から帰国直後、訪日したインドのモディ首相と会談した。首脳会談では、日本とインド両国の経済や国防への協力が合意されたほか、ミャンマー、バングラデシュ、スリランカのインフラ建設において両国が協力するとした。この3カ国は中国の「一帯一路」によるインフラ建設も進んでいる地域である。ということでは、ある意味で日本が仲介役となりながら、インドのインフラ建設構想と中国の「一帯一路」になんらかの協力関係ができる可能性が出てきた。

さらに日本はロシアとも良好な関係にあり、領土問題はあるものの、経済協力は進展している。すると、中国・インド・ロシアは、日本が仲介することで、これまでにないような新しい経済協力関係が築かれる可能も出てきた。

ロシア、中国、朝鮮半島を結ぶ行路

これは中国・インド・ロシア・日本が結ばれる新たな経済圏の出現といっても過言ではないかもしれない。アメリカには依存しない本格的な多極化の動きになるはずだ。

そして、すでにこうした動きの成果も出てきている。日本の主要メディアではほとんど報道されていないようだが、鳥取県と韓国江原道、中国吉林省、ロシア沿海地方、モンゴル中央県の5地域が共同発展策を探る「第23回北東アジア地域国際交流・協力地方政府サミット」が10月30日、ロシア・ウラジオストクで開かれた。

そこでは、境港と韓国の日本海、ウラジオストクを結ぶ定期貨客船航路の延伸による物流ルートの構築に向けて連携することで合意した。

さらにウラジオストクからは、ロシアのシベリア鉄道でヨーロッパにまでつながる。これが完成すると、日本、朝鮮半島、中国、ロシアが単一の貿易ルートで結ばれることになる。いわばこれは、日中韓ロの「一帯一路」のような構想である。

Next: 多極化の中核になるのは日本と中国。「天皇の訪中」も計画されている?

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