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世界で加速する米国離れと多極化、その中心は日本~日中韓ロの一大貿易圏が生まれる=高島康司

2025年までに国防産業を再建する

こうした報告書だが、急速に発展する中国のテクノロジーと、ロシアの軍事システムに対する恐怖が滲み出ているのが分かる。

中国は「中国製造業2025」という巨大プロジェクトを立ち上げ、2025年をひとつのメドに、中国が最先端テクノロジーの製造業大国になるとしている。トランプ政権はなんとしても2025年までに、中国、ならびにロシアの動きを阻止し、アメリカが最先端テクノロジーで圧倒的な優位を確保し、米国内の国防産業を再編しなければならないと考えているようだ。

こうした国防産業の脆弱性への危機とそれを乗り越えるための再編計画の推進こそ、トランプ政権がいま強く推し進めている、自由貿易とグローバリゼーションの否定に基づく保護貿易主義政策の背後にある最大の理由であることは間違いない。今回の報告書の公表で、これが証明された。

変更不能な保護貿易政策と加速する多極化

こうした状況なので、トランプ政権が現在の保護貿易政策を変更するなどということは、まずあり得ないと考えたほうがよい。トランプ政権は自由貿易こそ米経済を支える基盤であることを理解しつつあるので、いずれ政策を転換するだろうとの希望的観測も主要メディアではときおり見られるが、そのようなことはまずないと見たほうがよい。

トランプ政権は、アメリカの軍事的覇権を永続化するために、国防産業の再建に必死に取り組んでいる。彼らにとって自由貿易とグローバリゼーションは、アメリカの覇権を軍事的に弱体化させた最大の原因なので、同盟国との関係などあらゆる犠牲を払ってでも、これを阻止するつもりだ。

もちろん、トランプ政権が引き金を引いた保護貿易主義への動きは、各国に大きな波紋を巻き起こしている。水面下で始まっている、ドルによる国際決済通貨システムから脱却する脱ドル化の動きの一端は、当メルマガの前号にて紹介した。

それとともに、アメリカの同盟国からこうしたトランプ政権を真っ向から非難する発言も相次ぐようになっている。

たとえばドイツ外務省だが、11月7日、ハイコ・マース外相は地方紙のインタビューで、「今回の中間選挙での選挙運動は、米国社会がいかに分断されているのかを示しており、さらに推進した」と述べた。さらに外相は、「米国は欧州域外の最も重要なパートナーの一国であり続けることに変わりはないが、その関係を再検討する必要がある」とした。そして、「米国の国際条約撤退や制裁関税などの措置に対し、欧州結束が唯一の打開策だ」と強調した。

またドイツ産業連盟(BDI)は、「貿易摩擦の終焉みえず」と題する声明を発表した。ディーター・ケンプ会長は「ドイツ産業界は、米国から厳しい逆風を受け続けることになる。多くの民主党議員もトランプ大統領の通商政策を支持していることから、米国の貿易政策が保護主義から方向転換することは、想像できない。米政府の対立路線は世界経済にとって脅威で、今後も続くだろう」とコメントした。

さらに、「貿易摩擦が米国企業に対しても利益をもたらすことはなく、米政府の制裁措置が米国内の景気にマイナスの影響を与えるのは時間の問題だ。国家の安全保障にかこつけて、一方的に関税を課すことは誤りだ」と指摘した。

Next: 多極化の動きの中心のひとつは「日本」か? これから世界は激動する

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