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混迷する韓国経済、青年の5人に1人が失業へ。文在寅大統領がハマった罠とは?=勝又壽良

文大統領が落ち込む正義の「ワナ」

文大統領は、韓国は不平等な社会である。公正でない社会であると常に主張しています。ここで問われますのは、「公正」とは何か。小難しいことではありません。

  1. 努力したことに正当に報いる「公正」
  2. 不平等を取り除く「公正」

の2種類があるのです。文氏は、前者の「公正」を無視して、後者の「公正」だけを取り上げています。ここが、文氏の陥っている最大の「ワナ」と言えます。

文氏は、反企業主義者です。企業は、労働者を搾取する。そういう古典的な社会主義思想に染まっています。具体的には、法人税率を引き上げたり、規制を強化するという企業性悪説に取り込まれています。そこから脱して、「企業が生産性を上げ、働く者に高賃金を支払う」。この単純な事実こそ、高生産性=高賃金を実現させます。こうして、先の2つの「公正概念」が同時に成立することになります。以上の関係を要約します。

・企業が生産性を上げる=(1)努力したことに正当に報いる「公正」
・働く者に高賃金として支払われる=(2)不平等を取り除く「公正」

文氏の経済政策の根本的な誤りは、(1)の公正を否定して(2)の公正だけを拡大させる点にあります。並列する二輪に例えれば、片方だけ大きくし、もう一方を小さくするのと同じ愚を演じているのです。これでは車はスムーズに動くはずがなく、経済は破綻して当然です。現在、韓国の失業率が高まっている事情の裏には、こういう歪な考え方が存在しています。

OECDの提案する「包攝的成長」は、前記の2つの公正を実現することが暗黙の前提でしょう。韓国の大幅最低賃金引き上げを批判したOECDが、韓国政府の唱える所得主導成長論=包容的成長を容認するとは思えません。

経済不振反映で支持率50%割れ

再び、冒頭のビル・クリントン元米大統領が、初の選挙スローガンで用いた「経済こそが重要なのだ、愚か者」という言葉に戻ります。いくら美辞麗句を並べても、経済面で実績を出せない政権は、国民の支持を得られません。文政権が、その試練の場に立たされています。

文大統領の支持率は、11月28日発表で就任後初めて50%を割り48.8%になりました。政権与党である「共に民主党」も37.6%と最低水準に落込みました。5月末の世論調査では85%の高支持率を得ていました。文大統領の訪朝で、「民族融和」への夢が膨らんだものと見られます。これは、一時的な「噴き上げ現象」でした。その後は、厳しい失業問題に足を引っ張られ、50%を割り込むことになりました。

最近期である10月の完全失業率は3.5%で、前月より0.3%ポイント上昇して10月を基準に13年ぶりの最高値となりました。失業率は、文政権の支持率に敏感に響いています。まさに、「経済問題こそが重要なんだ」というクリントン発言を証明しています。失業の被害は青年に集中しています。その実態を見ておきます。

Next: 青年の5人に1人が失業している? 韓国の雇用情勢は壊滅的…

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