失業で苦しむ青年たち
今年7~9月期、青年層(15~29歳)の失業率は、9.4%で昨年同期に比べて0.1%の上昇でした。7~9月期基準では1999年以降19年ぶりの最悪値となりました。
これだけではありません。就職活動学生まで含めた「拡張失業率」(体感失業率)という青年層の失業率が異常な高さです。拡張失業率は、就職浪人で公務員試験の勉強中という者まで含めています。韓国独特の指標で22.8%にもなります。
この「拡張失業率」は、2015年の統計作成以来の最悪値でした。青年の5人に1人の割合で失業している状態を意味するからです。こういう人的資源の無駄は、日本とかけ離れた公務員志望(お上意識の強さ)の結果でしょう。
韓国は儒教社会です。朝鮮李朝時代、「科挙(かきょ)」(公務員)は絶対的な権力を握っていました。その伝統が、未だに若者に受け継がれているものです。公務員にならずとも、職業はいくらでもあるはず。公務員になれば、科挙の歴史を継いで「エリート人生」を保障されているのでしょう。この辺りにも、韓国社会の前近代性を感じるのです。
前述のように文大統領の支持率は、就任後初めて48.8%になりました。この支持率を地域的に見ると、これまで重工業地帯として発展してきた地域で、文支持率の低下が目立ちます。
工業地帯の支持率がつるべ落とし
世論調査会社のリアルメーターは11月29日、釜山市、蔚山(ウルサン)市、慶尚南道での文大統領支持率が37.6%まで低下したと発表しました。9月第1週の62.7%から2カ月で25ポイントもの低下になります。この間、全国支持率は65.3%から48.8%へと17ポイントの低下でした。繰り返しますと、前記の3地域の支持率低下が25ポイント。全国平均が17ポイントの低下です。改めて、その落ち込み幅の大きさに気付きます。
もともと、これら3地域は保守色の強い地域とされます。文大統領が、地元出身であることから、党派を超えて支持したと見られます。だが、経済の落ち込みにしびれを切らして、不支持に転じたのでしょう。保守色の強い大邱市・慶尚北道での支持率(34.8%)と同じ傾向を示しています。
文在寅氏の大統領得票率は41%でした。すでに48.8%まで支持率が下がっています。