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家族仲は悪くないのに…「相続手続き」が大変になる2つのケース=行政書士・山田和美

大切な家族が亡くなったときに生じる「相続」。家族仲と相続税の問題さえクリアできればスムーズに進むと考えがちですが、実際には事務手続き上の思わぬトラブルで苦労する人が後を絶ちません。行政書士の山田和美さんは、特に注意すべき例として「相続人の中に実印を押せない人がいる」ケースと、「故人の財産が分散しすぎている」ケースを挙げます。

故人が多数の口座を持っていたら?見落としがちな手続きのポイント

「家族仲と相続税さえ問題なければ」は半分正解、半分間違い

家族仲は悪くない、相続税もかからない。それでも相続が大変になってしまうケースがあります。今回はそんなケースについて見ていきましょう。

相続の問題というとまず浮かぶのが「争族」の問題。家族仲が悪くて、または生前は特に仲が悪くなくても、お金がからんでケンカになってしまったり疑心暗鬼になってしまうケース。これは困りますよね。

そして、相続税が高いケース。または金額自体はそこまで高くなくても支払う現金がないケース。これも困ります。

しかし、それ以外にも困ってしまう可能性があります。結構見落とされてしまいがちなのですが、それは相続手続きが大変になってしまうケースです。

これは大きく分けて2パターンあります。

(1)相続人の中に「実印を押せない方」がいる場合

「実印を押せない人」とは例えば、認知症の方や未成年者行方が分からない人などです。この場合は、一定の場合を除いて、家庭裁判所で「代わりに印鑑を押してもらう人」を選ぶ必要があります。

家庭裁判所は、行ってその場で選んでくれるわけではありません。また申し立ての準備等も必要なため、どんなにスムーズに行っても、相続が開始してから諸々の手続を開始できるまで、1ヶ月から2ヶ月程度はかかります。

不動産の名義変更等は、すぐに売却しようとしている場合等を除いては数ヶ月名義変更が遅れても支障は出ませんが、その間亡くなった方の銀行口座は凍結され、お金を引き出すことはできません。

あまり長くこのような状態が続くと、相続人は困ってしまいますよね。このような事態を防ぐには、遺言書の作成が効果的です。

また、銀行口座のように凍結されず、比較的早く受け取れるお金を準備するという面で、生命保険に入っておくのも良いでしょう。

(2)財産が分散しすぎている場合

例えば、銀行口座を10行近く持っているとか。証券口座がたくさんあるとか。また、以前住んでいた他県の銀行や信用金庫などに口座が残ったままだとか。

相続が起きると、原則として銀行口座は凍結されます。その口座からお金を引き出すためには手続が必要になるのですが、その手続が結構大変です。

郵送のみで終わる銀行も稀にありますが、本当にごく一部。原則として銀行の窓口があいている時間に窓口に行って、手続をしなければなりません。担当の方の慣れ具合にもよりますが、手続に半日近くかかることもあります。

また書類の書き方もそれぞれの金融機関によって「独自ルール」があるため、事前に確認しておかないと、せっかく記載して持参しても出し直しになってしまうこともあります。

さらに、原則としてその支店のある場所までいかなければならないので、近くに支店のない金融機関に口座があると大変です。遠方の地方銀行や信用組合、信用金庫などに口座があると、行くだけでひと苦労ですよね。

時間にかなり余裕があれば良いですが、お仕事をしながら銀行まわりも、というのは結構大変です。

お身内が亡くなると休暇を頂けることもあるでしょうが、それも通常は、相続発生後数日です。その間にまわれれば良いですが、その短期間では書類をそろえる事も困難ですし、また誰がどの財産を相続するか、という話し合いがまとまらないことも多いでしょう。

手続自体は難しいものではありませんが、時間がかかってしまうぶん大変です。

このような事態にならないように、いま一度銀行口座を確認し、使っていない口座、遠方の金融機関の口座などは解約・整理されることをおすすめします。

また相続以外の面でも、あまりにも多い口座にお金が分散していると、今どこにいくらあるのか、管理をしていくのも大変です。

相続の対策を考える際は、「相続税対策」「争族対策」に加えて、この「相続手続きを大変にしてしまわないための対策」も併せてして頂くことをおすすめします。

【関連】公平な相続なんてムリ。だからこそ遺言には「あなたの想い」も残してほしい

こころをつなぐ、相続のハナシ』(2015年11月11日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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愛知県の行政書士山田和美が、相続・遺言について情報を発信するメールマガジンです。ご家族が亡くなる、ご自身の相続に備えて準備をする。そういった経験は多くの場合、一生に数える程しかありません。だからこそ実際に直面したとき、何から手を付けて良いかわからず戸惑ってしまったり、知らなかったが故に不利益を被ってしまう事が多々あります。このメルマガでは、「相続人って誰のこと?」という基本的な事から、「相続が起きると銀行口座どうなるの?」等のより実務的な疑問まで幅広くお伝えして参ります。

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