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韓国・徴用工問題、日本は国際裁判で敗北する?必ずしも日本有利と言えないワケ=世に倦む日日

本当に国際裁判で勝てるのか?

マスコミ報道を見るかぎり、日本側は国際司法裁判所の提訴について自信満々で、必ず勝利判決を得ると確信しているようだ。それを断定した報道ばかりで、負けるかもしれないという予想には一度も接したことがない。

韓国側が、国際司法裁判所での訴訟に躊躇する姿勢を見せ、日本側が前のめりである事情は確かで、そこから進行を窺うと日本側が有利なのかなという印象を抱く。

果たして、本当に日本側の勝訴は確実なのだろうか

佐藤優氏は、昨年11月の週刊ポストの記事で、「要は無理筋な話をしているんです。だから、日本がこの話をICJ(国際司法裁判所)に持っていけば、100%勝ちます」と断言している。

一方、木村幹氏は、昨年12月のニューズウィーク誌上で、「ICJ提訴は必ずしも有利にならない」という見方を示している。その判断の中身は、今回の徴用工の請求を認めた大法院判決の法的論理が、日韓請求権協定の枠内での権利侵害(賃金不払い)を認めるものではなく、その外側の日本の植民地支配の下での人権侵害を捉えたもので、その不法行為に対する賠償責任を認めたものだからという点にある。そこが争点になり、こうした枠組みで問題を審理されると、日本側に不利だと言っている。

日本側に必ずしも有利ではない…

私は、木村幹氏とは別の観点と理由から、日本側に必ずしも有利ではないという観測をする。

まず、裁くのは誰かという問題だ。

答えは、国際司法裁判所である。国際司法裁判所というのは、言うまでもなく国連機関の1つである。15人の元外交官が判事団を務めている。

国連機関である国際司法裁判所の判事たちは、この徴用工をめぐる日韓の紛争を持ち込まれたとき、第三者の立場から、どのように案件の審理を進めるだろうか。

そのとき、同じ国連機関であるILO(国際労働機関)国連人権理事会(国連人権委員会)のかつての作業や報告が無視されるとは考えにくい。

実際、この問題については過去からILOに提起がされ、1998年から何度も報告書が出され、日本政府に対して勧告が出されている。

09年のILOの勧告では、「年老いた強制労働者が訴えている請求に応える措置をとることを(日本政府に)望む」とある。国連人権理事会も、徴用工問題について日本政府の対応は不十分だという判断を示していると、昨年12月の赤旗の記事にある。

国連機関は、基本的に徴用工問題と慰安婦問題をセットに捉えていて、日韓の戦後処理をめぐる紛争案件として1つの問題だという認識にある。

そして、同じ戦時人権侵害の問題だという理解でいる。

Next: 過去、国連機関に持ち込まれると日本は分が悪い?

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