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甘利大臣「ここが正念場」のカン違い根性論で日本の貧困が加速する=三橋貴明

高度経済成長期の日本の成長率が他国を凌駕した理由

1950年代からオイルショックまで、西側先進国は「人類として前例がない」急成長時代を経験しました。日本の高度成長期は、ドイツの「経済の奇跡」、フランスの「栄光の30年間」の時期に該当します。当時の西側先進国の急成長は、総称として「黄金の四半世紀」と呼ばれたりしています。

とはいえ、高度成長期の各国の成長率には、やはり「差」がありました。50年代から70年代にかけ、日本の成長率は10%近い(しかも「実質」で)状況だったのですが、ドイツやフランス6%前後アメリカ4%程度でした。

すでに、世界最大の経済大国に成長していたアメリカはともかく、独仏両国の経済成長率が日本に及ばなかったのはなぜなのでしょうか。日本人と、独仏両国人の「能力」や「努力」の差なのでしょうか。そうは思いません。

データを見れば、日本と独仏両国の経済成長率の差が、「生産性向上の速度の違い」により発生したことが分かります。総人口や生産年齢人口、あるいは輸出の増加ではなく、「生産者1人当たりの生産の拡大」のスピードが違ったことが、3カ国の経済成長の速度に差をもたらしたのです。

継続的な経済成長路線を歩むための「正解」とは

それでは、なぜ日本の生産性向上速度が、独仏両国を上回ったのか。独仏両国は「外国移民」を受け入れ、インフレギャップを「労働投入量」を増やすことで埋めました。それに対し、日本はインフレギャップを「労働者」で埋めることができませんでした。高度成長期の日本は、完全雇用が成立していた上、近隣諸国から外国人労働者を受け入れることも不可能でした。

というわけで、日本は「生産者1人当たりの生産の拡大」すなわち生産性向上でインフレギャップを埋めるしか道がありませんでした。それが、幸いしたのです。生産性が向上すると、「定義的に」国民が豊かになります。豊かになった国民は消費や投資という需要を増やすため、またもやインフレギャップ。

生産性向上によりギャップを埋めても埋めても、すぐにインフレギャップが生まれ、いつまで経っても生産性向上の努力を続けなければなりませんでした。そして、それが「正解」だったのです。

継続的な経済成長は、インフレギャップ下の生産性向上以外の理由では、まず起きません。そして、日本の高度成長期は、まさにインフレギャップ下の生産性向上により、独仏両国の2倍近い平均経済成長率を達成することができたのです。

この「史実」を前にしながら、あるいは現在の「移民国家・欧州」の混乱を目にしながら、未だに、「人手不足を外国移民受入で解消を」などと主張する愚かな日本人が後を絶たないわけです。この手の連中との「言論戦」に勝たない限り、我が国が再び継続的な経済成長路線を歩む日は訪れないように思えるわけです。

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三橋貴明の「新」日本経済新聞』2015/11/28号、2015/11/29号より

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