なぜ大きな差が出た?
なぜ、このように大きな違いが出たのかというと、調査の仕方、空き家カウントの定義に違いがあるからです。
総務省の方は、長屋やアパートの空室も含めたサンプル調査で推計されたものです。
一方、各区の調査は、長屋やアパートで1部屋でも入居者がいれば、空家にはカウントしないという調査方法をとっています。
言い換えると、総務省のほうは、10部屋のアパートのうち、3部屋が空いていれば、7部屋は居住中で3部屋は空き家とカウントされます。
それに対して各区の調査では、10部屋のアパートのうち、9部屋が空いていても、1部屋だけ居住中ならば、空き家にカウントされないということです。
どっちも正しくて、どっちも間違い
これ、どちらが正しいかではありません。
数学や物理のような自然科学と異なり、アンケートをベースにした統計を用いる社会科学には、正しい答えなど存在しないからです。
要は自分の立場として、どちらの数値がより役に立つかを考えて、どちらの数値を使うかを決めてくださいということです。
各区の、誰1人住んでいない家のカウントを行うという調査方法は、すなわち、倒壊などの恐れがある無人の家をあぶりだすために行われたのだと思います。
もし、アパートの中に数人でも人が住んでいれば、破損したときに気づいて修繕する人がいるということで、今すぐ危険な空き家になる可能性は低いわけです。
不動産投資家は総務省のサンプル調査が参考になる
しかし、不動産投資家の立場で見れば、各区の空き家のカウントより、総務省のサンプル調査のほうがより役に立つと思います。
というのも、投資家は10部屋中1部屋しか入居していない物件が多数存在するエリアと、10部屋中9部屋に人が住んでいる物件が多数存在するエリアを知りたいからです。
別に投資家は、危険な空き家がどこにあるかなんて(土地狙いの人とか、廃墟投資とかの人でなければ)興味がないからです。