米国と中国が世界の情報網を真っ二つにする
核兵器は抑止力だと言われている。つまり、あまりに破壊力が強いので、相手を叩いても、自分が叩かれれば共倒れとなるのだ。
しかし、ここで相手の攻撃核と防御核のすべてを無力化できればどうだろう。オーストラリアが2018年初頭に行った戦争ゲーム実験では、5Gがそれを可能にできそうなのだ。それができれば、報復を恐れることなく、相手を叩くことができるようになる。
その意味では、5Gの通信範囲が狭いことは人類にとって幸運だった。自国のネットワークさえ守り切れば、他国から電波が届くことはない。スマートシティも、スマートハウスも、スマート家電も安全だ。
このことは、米国と中国は世界を2分する通信網を築くことを意味しないか?ちょうど、VHFとベータのように、他陣営から干渉されないスマート国家の集団だ。
現状の米中貿易戦争では、米国が圧倒的に有利だ。しかし、代替物はどこにでもあるものだ。より良いものさえ開発できる。必ずしも、中国が負けるとは限らない。
中国側に付く国は意外に多い
では、誰が中国側に付くのだろうか?
まずは、米国が経済制裁を行っている国々だ。イラン、イラク、シリア、レバノン、イエメン、スーダン、リビア、ソマリア、コンゴ民主主義共和国、ジンバブエ、北朝鮮、キューバ、ベネズエラ、ベラルーシ、ロシアの各国だ。どの国も比較的貧しく、内紛を抱えている国も多いのは、米国の厳しい経済制裁も大きな理由だ。
ほかも数え上げて見ると、思ったほど米国は有利ではない。これはトランプ政治が米国離れを産んだからだ。アラブ諸国やトルコは、エルサレム承認だけで、米国から距離を置いた。
ヨーロッパの同盟国も、ファーウェイの情報を共有していながら、ファーウェイ排除を打ち出さない。対イラン制裁では、米国離れさえ起きている。
対イランではインドも同じだ。インドはイラン原油を買っているだけでなく、パキスタンの裏側国との友好関係が欠かせないからだ。
それでも、一党独裁の国に通信網を握られるのは恐いので、米国側の優位は動かないと思われる。