アメリカ側も中国をハッキングしている
こうしたことで、中国は恐ろしい国だと感じる人がいるかも知れない。ところが、米国家安全保障局の元職員スノーデン氏がリークした同局の書類によると、米国はファーウェイのシステムにハッキングを仕掛けていた。
また、フェイスブックを始めとする米企業はユーザーの個人情報を集め、自社の利益のために使用しているが、そうした情報は米政府にも提供されている。アマゾンのスマートスピーカーなどは、機械的な処理だけでなく、ユーザーの声を数千人もの「人間が聞いている」のだ。
つまりファーウェイ制裁は、「どちらが正しい」とか「どちらが悪い」とは言えない、米中覇権争いの中核になっているのだ。
5G戦争ゲームの情報を共有し、ファーウェイを自国の5G通信網から締め出したオーストラリアは、米側に立ったことを明らかにしたことで、中国向け石炭輸出が中国側の通関手続きの遅延などで滞ったとされる。
米中報復関税合戦の発端は…
5月初めのトランプ大統領のツイッターに始まる報復関税合戦の始まりは、その直前に中国が米国との合意文書を一方的に修正したことにある。
中国は合意文書の3分の1を修正破棄したようなのだが、その部分は国家資本主義体制に言及した部分だとされる。国が企業経営に口出しや梃入れするのは不公正だと言うのだ。
とはいえ、これは共産党が国家経済を主導する政治体制に関する問題となるので、中華人民共和国が受け入れることは有り得ないだろう。
また、ファーウェイ排除を受け入れ、米国主導のインターネット社会、IOTを受け入れることは、社会的インフラの安全保障を明け渡し、軍事力を無力化される危険を冒すことになる。
つまり、両国で取り決めた合意文書を一方的に修正破棄するというのは、中国は米国との対立を決めたということではないのか?
そこで、報復関税合戦や、レアアース、一帯一路構想の推進、南シナ海に軍事拠点として人工島を建設など、これまで以上に強気の姿勢を示している。
ついに核戦争が始まる?
5月21日のロイターが、「核兵器が使用されるリスクが、第2次世界大戦後で最大に高まっていると、国連安全保障武力研究所長が火曜日に述べた。世界がもっと深刻に捉えるべき緊急課題だとした」と報じたのは、こうしたことを踏まえたものかも知れない。
※参考:Risk of nuclear war now highest since WW2, U.N. arms research chief says – Reuter(2019年5月21日配信)
では、本当に核戦争が始まるのだろうか?