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北朝鮮、会談失敗で「高官処刑」か。粛清の理由“スパイ容疑”が示す核戦争勃発の現実味=矢口新

ハノイで行われた米朝首脳会談の失敗を受けて、北朝鮮側の特使が処刑されたとの報道が出た。真偽は不明だが、南北統一の道が途絶えたこと、核戦争勃発の可能性すらあることがわかってくる。(『相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―』矢口新)

※本記事は、矢口新氏のメルマガ『相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―』2019年6月3日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。配信済みバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:矢口新(やぐちあらた)
1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。アストリー&ピアス(東京)、野村證券(東京・ニューヨーク)、ソロモン・ブラザーズ(東京)、スイス・ユニオン銀行(東京)、ノムラ・バンク・インターナショナル(ロンドン)にて為替・債券ディーラー、機関投資家セールスとして活躍。現役プロディーラー座右の書として支持され続けるベストセラー『実践・生き残りのディーリング』など著書多数。

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北朝鮮の高官「3月に処刑されていた」との報道

2月末にベトナムの首都ハノイで行われた米朝首脳会談の失敗を受けて、北朝鮮側の特使が処刑されたという。まずは以下の報道をご覧いただきたい。

米国とのハノイ首脳会談の失敗で、北朝鮮側の特使が処刑

金革哲氏は3月にピョンヤンの美林空港で、4人の外務省職員と共に処刑された。彼らは米国のスパイ容疑で起訴されていた。朝鮮日報が事情に詳しい匿名の情報筋の弁として報道した。

金正恩委員長の右腕で、ハノイ会談の前にポンペオ米国務長官の相手方を務めた金英哲氏は、中国との国境に近い慈江道の強制労働、再教育キャンプに送られたと、朝鮮日報が報じた。

金与正氏もまた謹慎中だと、匿名の韓国政府高官の弁として、同紙が報じた。

出典:North Korea executes envoy to failed U.S. summit -media; White House monitoring – Reuters(2019年5月31日配信)

米国との経済協力を画策した会談が決裂し、米国の経済制裁も緩む兆しがないことから、北朝鮮は米国への接近を放棄せざるを得なくなった

誰かが責任を取らねば納得しない面々

そうなると、「国を挙げて米国に秋波を送った責任」を誰かが取る必要が出てくる。さもないと、当初から米国への接近に疑問を呈していた国内の勢力や、中国ロシアが納得しない。

中国は一時期、米国と経済協力を通じて蜜月と呼ばれた時期を持ったが、2018年3月以降は貿易戦争を繰り広げている。

ロシアはソ連崩壊後の一時期、冷戦疲れから米国と蜜月と呼ばれた時期を持ったが、NATOは次々と旧ワルシャワ条約機構の国々や、旧ソ連の構成国を抱合して拡大。終には兄弟国ともいえるウクライナの親ロ政権が親米勢力によるクーデターで倒されたことから、ロシアはロシア軍の基地があるクリミアをウクライナから奪還した。その後は米国の厳しい経済制裁を受けている。

スパイ容疑とは、米朝会談をセッティングしたこと

処刑理由のスパイ容疑とは、米国の真の意向を知らずに、米朝接近の会談をセットしたことらしい。

つまり、米国の調略に乗り、かねてからの同盟国である中国、ロシアとの関係を壊しかねなかったことで、北朝鮮に国家安全保障上の危機を招いたということなのだ。

Next: 失敗会談をセッティングしたので処刑…朝鮮半島「南北統一」も絶望的に?

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