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デフレの原因は人口減少ではない~人口変動とインフレ率の真実=三橋貴明

日本以上の人口減少国、ジョージアでインフレ率が高い理由とは

日本とジョージアの人口(左軸、2000年=1)とインフレ率(右軸、%)

日本とジョージアの人口(左軸、2000年=1)とインフレ率(右軸、%)

上図の通り、日本の人口が2000年比でほぼ横ばいであるのに対し、ジョージアは17%近く減っている。

それにも関わらず、インフレ率(CPIの対前年比変動率)は日本がマイナスもしくはゼロ近辺で推移しているのに対し、ジョージアは2012年を例外に、5%を超えるインフレが常態化している。2007年や2010年のジョージアのインフレ率は、何と10%を上回った。

人口減少デフレ論者たちは、この事実をいかに説明するのだろうか。

ジョージアのインフレ率が高い水準で推移しているのは、同国が供給能力の蓄積が不十分な発展途上国であり、国内外で紛争が継続しているためだ。要するに、供給能力の蓄積が不十分で、常時インフレギャップの状態にあるためなのである。

供給能力の蓄積とは、設備投資、人材投資、公共投資、技術開発投資の「四投資」が必要だ。ジョージアは投資が足りず、供給能力の蓄積という意味の経済力が小さいままなのだ。

ついでに書いておくと、ジョージアではバブル崩壊は起きていない。すなわち、供給能力を高める投資が不足し、バブル崩壊による需要縮小も起きていないために、ジョージアでは人口が激しく減少しているにも関わらず、インフレ率が高くなってしまうのだ。ただそれだけの話だ。

逆に、日本は供給能力の蓄積が十分な経済大国で、かつバブル崩壊と橋本緊縮財政により需要縮小に見舞われた。結果、供給能力が需要を上回るデフレギャップ状態に突入し、物価下落と所得縮小というデフレの循環が始まった。これまた、ただそれだけの話である。日本のデフレにせよ、ジョージアのインフレにせよ、人口とは無関係な経済現象である。

何を言いたいのか理解できない日銀

あるいは、人口減少デフレ論者たちは、それでも以下のように反論するかも知れない。

「日本の人口減少は生産年齢人口の減少だ。ジョージアとは違う」

日本銀行は2012年8月に「日本の人口動態と中長期的な成長力:事実と論点の整理」というレポートを出している。レポートで、日銀は、

わが国では、人口成長率の低下とともに物価上昇率も低下してきた。この点については、少子高齢化が予測を上回り続けるかたちで急激に進展する下で、中長期的な成長期待が次第に下振れるに連れて、将来起こる供給力の弱まりを先取りする形で需要が伸び悩んだことが、物価下押しの一因となってきた可能性がある。また、少子高齢化の進展に伴って消費者の嗜好が変化していく中で、供給側がこうした変化に十分対応できず、需要の創出が停滞すると同時に、既存の財やサービスにおいて供給超過の状態が生じやすくなったことが、物価の下押しにつながってきた可能性もある。(P2より)

と、書いている。

一度読んだだけでは、日本銀行が何を言いたいのかさっぱり分からないだろうが、筆者の場合は何度読んでも理解できない。

少子高齢化で需要が停滞した」と言いたいのは分かるのだが、途中のロジックは全くもって意味不明である。

Next: デフレという経済現象と人口が無関係であることは明らか

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