平成30年間での日本の衰退はもはや明らか
平成の終焉で、平成元年には世界時価総額ランキング20社に14社も入っていた日本企業はすべて消え失せました。かろうじてトヨタ自動車が35位に踏みとどまっているだけという厳しい状況に変化しています。
※参考:昭和という「レガシー」を引きずった平成30年間の経済停滞を振り返る – ダイヤモンド・オンライン(2018年8月20日配信)
特に驚かされるのは、上位にあった銀行が統合してメガバンクになり経営状態はボロボロで時価総額を語る話ではなくなったこと、それ以外の銀行はそもそも消滅してしまったこと。また原発で大事故を起こした東京電力と、それに追随する東芝や日立製作所もボロボロの状態で、世界の時価総額とは何の関係もない状況に陥ってしまったのにはとにかく驚かされます。
自助努力でのし上がってきたソフトバンクグループやファストリなどは確かにありますが、米国でITの領域で新たな産業を築くことになった「FAANG(フェイスブック、アップル、アマゾン、ネットフリックス、グーグル)」のような存在はまったく見られないのが、日本の産業の大きな特徴になっていることを改めて気づかされる次第です。
新たな産業を育てる視点は皆無の安倍政権
この30年の経済政策の失敗は、何も足元の政権だけのせいではありません。
しかし、21世紀に入ってからかなりの時間を麻生政権と安倍政権が担ってきたわけですから、人口減少、高齢化、国内産業の衰退、貿易立国の地盤沈下といった大きな問題の中で、新たな経済をけん引していくような俯瞰的な政策のデザインが一切実現できなかった、正確にいえば手を付けることさえもできていないことが、国際的な競争力を大きく下げる要因になっているのは明らかです。
「働き方改革」といえば安い賃金の外国人労働者を導入することに躍起になり、年金の受給年齢を後ずれさせて死ぬまで1億総労働社会を形成しようとしているだけで、実質賃金は下がるばかりですから、民力だけで経済成長率を高めるのはもはや無理な状況です。