老後に2,000万円が足りない
「人生100年時代」…。この表現も何か素直に受け止められない、いろんな思惑が隠されたフレーズのように思えてなりません。
「人生100年時代を見据えた資産形成を促す報告書」には、
長寿化によって会社を定年退職した後の人生が延びるため、95歳まで生きるには夫婦で約2,000万円の金融資産の取り崩しが必要になるとの試算を示し、公的年金制度に頼った生活設計だけでは資金不足に陥る可能性に触れ、長期・分散型の資産運用の重要性を強調した。
とあります。
2,000万円という数字の根拠は、
平均的な収入・支出の状況から年代ごとの金融資産の変化を推計、男性が65歳以上、女性が60歳以上の夫婦では、年金収入に頼った生活設計だと毎月約5万円の赤字が出るとはじき、これから20年生きると1300万円、30年だと2,000万円が不足する。
としたようです。
長寿化が進む日本では現在60歳の人の25%は95歳まで生きるとの推計もあり、報告書では現役時代から長期積立型で国内外の商品に分散投資することを推奨、定年を迎えたら退職金も有効活用して老後の人生に備えるよう求めたとあります。
これを受けて金融機関やFPは資産運用の大切さを訴え、iDeco制度の推進を図り、投資信託を積極的に勧めてくるのでしょうね。
確定拠出年金やiDecoで多くの人が投資信託を購入することで、個人が株式市場に参加することになり、株価を下支えしてくれることを期待しているのでしょうかね。
年金を頼りにしていた人は絶望へ。若者は最初からあてにしていない?
年金制度依存体質からの脱却という意味では、人生を国や会社にゆだねる、いわゆる国家との「心中」状態から自立することは望ましいと思います。
それでも、「“100年安心”というから老後を楽観視していたのに、この期に及んで2,000万円不足するって言われても…」という思いを抱いている人も多いでしょう。
一方、今の若者は、社会保障の充実が就職先としての会社選択の要因になっていないことも理解できます。
年金はもらえないというのが、今の若者の本音なのでしょう。
誰が年金制度をこんな風にしたのか。
なぜもっと早めの対策をうたなかったのか。
そういう思いも強くありますが、現実を捉えて、自分達の将来は自分達で何とかしなければならないという思いを強く持たせてくれたという観点で考えれば、今回の金融庁報告書がそのきっかけとなるのかなと前向きに捉えたいとも思います。
当メルマガのテーマが、「制度依存体質から脱却し真の自立を」ですからね。