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年金は政府の皮算用で崩壊へ。なぜ今、国民に「老後2,000万円の不足」を突きつけたのか

制度が変わるのでなく、既成事実を先に作ってそれに制度をあわせていく

年金制度を変えるのではなく、実際の社会構造を変えることで、それに制度を合わせる形で年金制度を変えていく…、そういう流れではないでしょうか。

年金制度の抜本的改革は、力技で行うと国民の理解は得られないでしょうし、何より選挙に不利になります。

60歳過ぎてもずっと現役で働くのが「人生100年時代」のあり方だと意識付け、それにあわせて制度を変える、現実に制度を合わせることで年金支給は70歳からに繰り上げてくるのでしょう。

政府の本音は「社会保障規模の縮小」です。それは年金だけでなく、むしろ医療制度のほうに適用したい概念でしょう。それだけ医療制度維持が重要課題となっています。

「働いて保険料を多く払ってくれ」。医療制度側から見れば、これが本音でしょうね。医療制度は単年度収支となっていて、年金のような積立金はありませんからね。

人生100年社会の社会保障とは「長寿に備えた保障の充実」なのでしょうか。

麻生財務大臣の言葉を借りれば、「状況が変わった」ことによる今後のさらなる社会保障に関する制度改正を見守りたいです。

考察:制度依存か自助努力か

国の制度に頼り続けるのか、それとも自分の足で立ち続けるのか。

資本主義である以上、後者になるのは当然と言えば当然です。再分配理論は社会主義国家においての話で、もし再分配強化を望むのであれば、政治を変えるしかなく、それは選挙で「大きな政府」を目指す政権を後押しすることになるのでしょう。

ただし「負担」と「保障」は表裏一体ですから、税負担をどこまで受け入れるかという問題もあり、保障とのバランスを取ることも求められます。

この話になるとき、民主党政権発足時の「無駄を省く」という議論を思い出します。また、小泉純一郎元首相の、医療制度改革時に訴えていた「三法一両損」というすばらしい意見もありました。

まずは議員定数削減歳費削減を大胆に行うべきではないかと思います。

マイナンバーカード活用で効率化を図るのであれば、公務員制度改革を押しすすめられるでしょう。

今後の事務処理AI化をも見越せば、公務員数見直しは議論になると思いますよ。

民主党政権発足時に、無駄な公共事業の削減を前提とした「事業仕分け」がうまく機能しなかったのは、官僚を完全に敵にまわしたからで、今後は政治主導を推し進め、官僚を敵視するのではなく、純粋に事業の見直し、特にすでに動いている事業も含め立ち止まることも視野に入れて見直すことが大事かと思います。

業界利益と議員利益の関係を断ち切ることも大事で、既得権益を守る構図も見直す必要があるでしょう。

タブー視されている特別会計の見直し(かつて、この問題追及で、当時民主党の石井紘基議員が刺殺されたことがあります)に踏み込めるのかどうかですね。

国保有財産の売却、徹底した構造改革による政府機能のスリム化を図った上で、それでも足らなければ増税もやむなしと納得できますけどね。

これらを政治に求めるのはこくな話でしょうか。であれば、私たちの意識改革が必要です。

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