<パソコンの性能アップは実質値下げ?>
またパソコンの値段はこの20年で98%も値下がりしたことになっています。20年前に20万円したパソコンは今4千円ということになりますが、実際には4千円で買えるパソコンはありません。20年前に20万円したパソコンは今も20万円前後です。しかし、当局はこの間にパソコンの機能が大幅に向上した分を価格に反映させないと、「値下げ」と扱います。
パソコンのほか、デジカメや電子レンジなどがこうした「機能向上」分を「値下げ」扱いして物価指数を押し下げる役割を演じています。もっとも、店頭で実際に購入するパソコン、デジカメ、電子レンジは、指数に見られるような大幅値下げにはなっておらず、前と同じような価格が維持されています。自動車も値上げしていますが、機能が向上しているため、統計上は「上がっていない」ことになっています。
こうした機能向上分の処理は米国でも見られますが、その程度は軽微です。日本の政治的処理は米国とは比べ物にならないほど大きく、パソコンの値段が20年で50分の1というのはあまりに不自然です。
つまり、現実には価格が上がっているのに上がっていない扱いにされたり、価格が横ばいなのに、機能向上で物価統計では「大幅値下がり」しているもの、大きさ、量が減って実質値上げをしていながら、これがカウントされない食品など、多くが現実よりも物価上昇を低く見せている可能性があります。
日本の物価、実は2%以上上がっている可能性があります。
低インフレは金融緩和の方便
現実の物価はともかく、統計上は低いインフレが続くことで、政府日銀は金融緩和が可能になります。
マイナス金利、日銀の国債大量買入れで国債の金利が低いために、政府は国債の金利負担が小さくて済みます。
日銀の背後にいる国際金融資本も、大規模緩和でじゃぶじゃぶマネーの供給が続き、株や債券、不動産など資産価格が上昇し、利益を拡大できます。
インフレは低いほうが彼らの利益になります。