トランプ大統領は米中交渉の合意には時間がかかると述べ、貿易摩擦の長期化に懸念。市場は利下げをほぼ織り込んできており、利下げ後の動きをどうみるべきか。(『牛熊ウイークリー』久保田博幸)
※本記事は有料メルマガ『牛熊ウイークリー』2019年7月19日号を一部抜粋したものです。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。
市場は利下げを織り込み済み、今後の動きは?
FRBの利下げ後を睨んだ動きに
今週の動き
FOMCでの利下げ観測が強まり、12日から15日にかけて米債は買い進まれた。16日の債券先物も買いが先行し、16銭高の153円54銭で寄り付いた。買い戻し一巡後は次第に上値が重くなり、債券先物の引けは5銭高の153円43銭。
トランプ米大統領は米中交渉の合意には時間がかかると述べ、貿易摩擦の長期化への懸念が強まった。
6月の米小売売上高や6月の米鉱工業生産指数が予想を上回ったことなどから、16日の米債も上値は重くなった。
17日の債券先物は2銭安の153円41銭で寄り付いた。この日の20年国債入札にはやや警戒感もあったが入札結果は順調。債券先物は買い戻しも入るが戻りも限られ、引けは変わらずの153円43銭。
6月の米住宅着工件数が市場予想を下回ったことなどから、17日の米10年債利回りは2.04%に低下した。18日の債券先物は買いが先行し、9銭高の153円52銭で寄り付いた。手国内での掛かり材料に乏しいこともあり様子見気分も強め、債券先物の引けは12銭高の153円55銭。この日の日経平均は先物主導で売りが入り、400円を超す下げに。
ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が早期利下げに前向きな姿勢を示し、18日の米10年債利回りは2.02%に低下した。19日の債券先物は株価の反発もあって上値も重く、引けは1銭高の153円56銭。東京株式市場は買い戻しの動きを強め、前日の下げ分をカバーした格好に。
来週の予想
ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は18日、経済に問題が生じる兆候を見つけたら迅速に行動すべきだと述べた。ニューヨーク連銀の報道官はこのウィリアムズ総裁による発言について、FRBが7月に大幅な利下げを行う可能性を示唆する意図はなかったと述べた。火消しに走った格好だが、少なくとも月末のFOMCでの利下げはほぼ確定的か。まだ、0.25%の利下げ幅の可能性の方が高いとみている。
市場はこの利下げはほぼ織り込んできており、利下げ後の動きをどうみるべきかを模索している。
米国の経済指標に一喜一憂するような状況は今後も続きそうだが、予想を下回るような指標に反応しやすいか。トランプ大統領は米中交渉の合意には時間がかかると述べ、貿易摩擦の長期化への懸念が強まったことも、米景気には悪材料となる。
米国とイランの緊張も高まりつつあることも注意したい。軍事衝突となる可能性も否定はできず、中東の地政学的リスクにも目を向ける必要がある。
21日の参院選は自民党が勝利するとみられ、これによる影響は限定的か。
市場の注目は30、31日のFOMCだが、その前に日銀の金融政策決定会合も開かれる。公表文などの内容の変化などにも注意したい。何かしらの緩和策はないと予想している。
23日に40年国債、25日に5年国債の入札が予定されている。どちらも無難な結果か。
長期金利の予想レンジ -0.180~0.000%
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