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なぜ大戸屋は男性客を裏切った?赤字転落の元凶は値上げ・バイトテロより深刻な戦略ミス=栫井駿介

「お家騒動」はコロワイドの登場で第2章へ…

「お家騒動」には続きがあります。

2019年10月、三枝子氏と智仁氏は保有株を全株売却し、完全に大戸屋の経営から姿を消しました

代わりに筆頭株主として登場したのが、「甘太郎」「かっぱ寿司」「牛角」などを運営するコロワイド<7616>です。そう、創業家はここに株式を売却したのです。売却額は30億円程度とみられます。

コロワイドと言えば、飲食関連企業を次々に買収して大きくなってきた企業です。20%弱の株式を握った大戸屋に対しても買収をほのめかす発言をしています。
※参考:コロワイド社長、大戸屋HDの買収視野に – 日本経済新聞(2019年11月15日配信)

20%の株式を握っただけではできることは限られますから、大戸屋を買収する可能性はかなり高いと言えるでしょう。これを受けて、株価は一時急騰する場面がありました。

コロワイド<7616> 日足(SBI証券提供)

コロワイド<7616> 日足(SBI証券提供)

もし買収されることがあれば、現経営陣は退陣を迫られるか、そうでなくてもこれまでのように好き勝手できなくなるでしょう。一度は「勝った」ように見えたお家騒動も、まだまだエピローグが続きそうです。

もっとも、このまま経営を続けてもうまくいく気配もありませんから、ここでコロワイドに買収されるのは必然の流れのように見えます。

一顧客としては、お腹が空いて駆け込んだ時のあの大戸屋に戻って欲しいと願うばかりです。顧客や現場を無視した企業の発展はありえないのですから。


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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2019年11月27日)
※太字はMONEY VOICE編集部による

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