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なぜ大戸屋は男性客を裏切った?赤字転落の元凶は値上げ・バイトテロより深刻な戦略ミス=栫井駿介

客離れは単なる値上げの問題ではない

そんな時に襲ってきたのが、現在の経営不振です。

「バイトテロ」こそ偶発的な事件で同情する部分もありますが、グランドメニューの改定は完全に現場を読み誤った判断です。

最近の大戸屋は、「健康志向」「女性向け」に舵を切っているように見えます。例えば、定食メニューの画像はどれも「五穀ご飯」が掲載されています。白飯も選択可能ですが、あえてそうしているようです。

ちなみに、私は五穀ご飯が描かれていると、あまり食欲をそそられません。おいしくないというわけではないのですが、どうしても「少量」「健康」「女性向け」という印象が拭えないからです。

かつて私が大戸屋に通っていたときも、肉や魚をそれなりにガッツリ食べられるから選んでいたところもあります。当時は大学の陸上部に所属していましたからなおさらです。「肉と白飯」。これが空腹の男にとって最高のごちそうです。

もし多くの人がそう感じているのだとしたら、「客離れ」は単なる値上げの問題ではなく、経営陣が顧客の現状を完全に見誤っている可能性があります

遺志は受け継がれたか? 現場重視とは思えない失策

確かに、大戸屋は「女性でも入れる定食屋」として成長してきましたが、男性の割合もそれなりにいます。

DIMEによると、男女比は4:6とのことです。「4」を手放すということは経営としては大打撃ですし、男性が減るということはカップルの入店も減ります。

「男性客が減っている」というのはあくまで仮定の話ですが、経営陣はこのような「実態」を把握しなければなりません。創業者の久実氏はとにかく「現場」を重視してきましたが、現経営陣にはその気概を持っているでしょうか

もし、現場を軽視するような風潮があるのだとしたら、「バイトテロ」の発生もある意味必然なのかもしれません。

そもそも、創業者ほどの熱量を持てる経営者はそうはいないものです。飲食は競争が激しく、利益率の低い業界ですから、少し歯車が狂うと立ち直るのは容易ではありません。

創業者が急死するという不運がありましたから、「お家騒動」でどちらが勝ったとしても、同じような結果になっていたのではないかと思います。

Next: いよいよ買収される?「お家騒動」はコロワイドの登場で第2章へ…

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