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基礎体力に不安、回復の力強さに欠ける日経平均~「理論株価」最新分析=日暮昭

回復の力強さの裏付けとなる体力は?理論株価が下がり続けている

さて、今後、相場が理論株価に回帰するものとすると日経平均は1万7560円に向かって上昇することになりますが、その場合、力強さには欠けるものになりそうです。

と言いますのは、この間、理論株価自体が低下を続けているからです。昨年5月末から直近の3月18までで理論株価は約10%低下しています。これは日経平均が下落しても反発の土台となる足場自身が下がってしまうため勢いよくジャンプできない状況と言えます。こうした傾向が続く限り株式相場の力強い反発は期待薄となります。

理論株価が下落したのはその構成要因である業績(予想EPS)と為替(米ドルレート)が低下したためです。

下図は昨年5月からの予想EPSと米ドルレートの動きを傾向として見るために月次ベース(月末値)で示したものです。2016年3月は18日終値です。

予想EPSと米ドルレートの推移(月末値)―2015.5~2016.3(2016年3月は18日終値)―

予想EPSと米ドルレートの推移(月末値)―2015.5~2016.3(2016年3月は18日終値)―

青線が予想EPS、赤線が米ドルレートを示します。予想EPSは昨年12月、すなわち米国の金利上昇の時期と合せて下落を始め、年明けから下落が加速しています。昨年後半までは今年度の業績は増益とする見方が市場で優勢であったのが米国の金利上昇を機に慎重な見通し転じたことが伺われます。直近の3月に反発しているのは年度末に至って来年度の業績見通しに明るさを見出す動きが出てきたとみることができます。

一方、米ドルは米国の金利上昇、日本の金融緩和継続にもかかわらず昨年12月以来一貫して下落を続けています。グローバルなリスク回避の結果の円買いとされているようですが、先行きの不透明は続きそうです。

これらの、理論株価を構成する要素は株価の強さの裏付けとなる基礎体力とも言えます。基礎体力が弱ければ株価の力強い復活は望めません。現状は未だ体力が十分回復している状況ではなく、本格的な相場上昇につながるためには基礎体力の強化、すなわち業績のアップ、米ドルの上昇(円安)が必要と言えそうです。

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投資の視点』(2016年3月22日号)より一部抜粋

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