バフェットだって間違える
事例を挙げましょう。
バフェット氏は2018年の7-9月期に、米ソフトウェア大手のオラクル株を21億ドル相当で購入しました。しかし同年10-12月期には早々に手を引き、全額売却しています。
長期投資を基本とする氏にしては珍しいことですが、CNBC放送のインタビューに対して、「買い始めた後も、同社のビジネスを理解していないと感じたから」だと答えています(ブルームバーグWeb版、2019年2月26日)。
バフェット氏がわずか数ヶ月でオラクルから撤退したのは、「その前に購入したIBMの教訓から得たもの」だということです。
氏は、50年以上に渡ってIBMの年次報告書を読んできた末に、ようやく2011年に同社の株式を保有し、その7年後には全額を手放しています。
IBMは、創業から100年を越すコンピューターサービスの老舗ですが、変化の激しいIT業界にあって、いまだに次の柱となる事業を育成できていません。
オラクルも、クラウド企業への転換の最中ですが、それがどれくらい進んでいるのかは、開示情報が少ないために、大手銀のアナリストですら実態をつかみ切れていない、と報道されています。
バフェットが動けば市場が動く
しかし、バフェット氏が投資をしたことによって、市場では一時期、オラクルに対する楽観論が広がりました(ブルームバーグWeb版、2019年2月27日)。
こうしたことも、異例の早期撤退につながったのかもしれません。
氏のように、世の中へのインパクトが大きい人は、自分の選択が、多くの人にどのような影響を与えるのかまで考慮しければならないわけです。
ついにアップル・アマゾンなど「IT企業」にも投資へ
その点、同じIT企業でも、最近、投資を始めたアップルやアマゾンはBtoC(Business to Consumer:消費者向けビジネス)を基本としており、どちらも強力なブランドを築いています。
「需要がわかりやすい」という点において、「わかるものに投資をする」という、バフェット氏の原則にも則っています。
世間で「割高だ」と言われるこれらの投資も、氏にとってはマイルールに従って判断した結果なのでしょう。