2.安倍政権の交代リスク~日経2千円下げ、5~10円の円高圧力
2つめは安倍政権が交代を余儀なくされるケースです。
アベノミクスへの期待で上昇してきた相場だけに、その前提となる政権が消失すれば、短期間にショック型の株価急落、円高になるとみられます。
次の政権が見えて、政策への安心感が戻るまでに、株価は2千円、ドル円は5円から10円の円高になるのではないかと思われます。
■改憲路線による支持率低下
政権交代リスクは、内外双方にあります。まず国内で最大の関門は、憲法改正を謳って衆参同時選挙をした場合で、ここで大きく負けると、安倍退陣となる可能性があります。自公政権は変わらずとも、選挙敗北の責任を取らされる可能性があります。
後継総裁として総理は稲田政調会長を推していますが、誰が継いでも、アベノミクスは幕を閉じます。
新しい体制のもとに経済チームが組まれましょうが、安倍政権下でのリフレ政策には反発もあり、そこは仕切り直しになるとみられます。安倍政権誕生時に比べると、政策手段は限られるので、「アベノミクス」以上のインパクトをもった政策パッケージを提示することは至難の業です。
■米大統領選「サンダース」「トランプ」リスク
政権交代のリスクは海外にもあります。特に、安倍政権をサポートしたのは米国の保守派、新保守派(いわゆるネオコンサバティブ)です。米国も今年は大統領選挙が行われ、どういう体制になるか不透明です。
ヒラリー・クリントン氏が勝てば、民主党政権ながら、ネオコンサバティブの後押しは続き、安倍政権は維持されますが、その場合はさらに米国依存が強まります。
この場合、国際金融資本の影響力が健在ということになりますが、これに対し、民主党が仮にサンダース候補となり、共和党トランプ氏との戦いとなると、事実上これまで世界の政治経済を支配してきた国際金融資本の影響力、新保守派の影響力が低下した可能性があります。そうなると安倍政権の足元がぐらつきます。
米国が一時CFR(外交問題評議会)の強い影響下にあったころ、米国から「安倍おろし」の動きが強まりました。米国メディアは安倍政権を「危険な右翼政権」と批判しました。
米国の政治面での勢力が、ネオコン優位からCFR優位に変わると、再び安倍政権には逆風が吹き、安保、沖縄基地、TPPなどで攻め立てられ、体調を崩して降板となるリスクがあります。