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新規上場したトゥエンティーフォーセブンは、新鮮な体験ができるジムへ転換できるか

思考実験──片づけるべき用事とは

『ジョブ理論』によれば、以下の問いに答えることで用事をより具体化できるようになる、としています。

1.その人がなし遂げようとしている進歩は何か。求めている進歩の機能的、社会的、感情的側面はどのようなものか。

2.苦心している状況は何か。誰がいつどこで何をしているときか。

3.進歩をなし遂げるのを阻む障害物は何か。

4.不完全な解決策で我慢し、埋め合わせの行動をとっていないか。ジョブを完全には片づけてくれない商品やサービスに頼っていないか。複数の商品を継ぎはぎして一時しのぎの解決策をつくっていないか。

5.その人にとって、よりよい解決策をもたらす品質の定義は何か、また、その解決策のために引き換えにしてもいいと思うものは何か。

出典:『ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム』(第2章 プロダクトではなく、プログレス)

用事の特定

イノベーションを起こすための最初のステップは、ある状況下で顧客がなし遂げようとしている進歩を特定することです。そして、その進歩には機能的、感情的、社会的側面があり、どれが重視されるかは文脈によって異なってきます。また、用事を特定することにより、真の競合相手もみえてきます。では、同社の場合はどうなるのでしょうか。

今回は、同社が課題とする「新規事業及び新商品開発による収益基盤の拡大」を取り上げます。同社はそれを次のように認識しています。

当社は、急激な事業環境の変化に対応し、競合他社に比して更なる収益の拡大を図るために、事業規模の拡大と新たな収益源の確保が必須であると考えております。このために、消費者の潜在需要をいち早く読み取り、新規事業及び新商品開発に積極的に取り組むことで、更なる収益基盤の拡大を行ってまいります。

ここで着目したいのは、もちろん「消費者の潜在需要」。そして、それとつなげるのは「バク転」です。そういった状況で顧客がなし遂げようとする進歩の機能的側面は「バク転をする」ということ。感情的側面として「象徴性」「健康」「癒し」「不安の軽減」、社会的側面として「自己実現」といったことを重視するでしょう。なお、「ドキュメント72時間」に登場していた青年は、会社の隠し芸大会で密かに練習していたバク転を披露したところ会場は大盛り上がりで、その翌日から彼をみる周りの目が一変したといいます。

なお、同社は「市場環境・競合」を次のように認識しています。

パーソナルトレーニングジム市場及びパーソナル英会話スクール市場は、成長途中の市場であり、また他業界と比較すると参入障壁が低いため新規参入が増加し、厳しい競合状態になることが想定されます。 このような状況の中で、当社はトレーニングのコンセプトを明確にし、他社との差別化を図っておりますが、今後競合状態がさらに激化した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

Next: トゥエンティーフォーセブンがすべきは、ほかのジムではできない体験の追加

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